5分で分かる、今週のモバイル事情9月15日〜9月21日

» 2007年09月21日 23時31分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

KDDIは6社連合、ソフトバンクは8社連合──WiMAX申請レースが佳境に

 2.5GHz帯の争奪戦が佳境に入ってきた。KDDIは9月18日、京セラ、米Intel、JR東日本、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀行の計6社の共同出資会社で免許を申請すると発表(9月18日の記事参照)。KDDIの小野寺社長は「WiMAXに対する取り組みは他社より早く、本気」だとし、WiMAX Forumのボードメンバーに名を連ね、WiMAXの標準仕様を策定するIEEE802.16TG委員会に議長を送るなど、技術と標準化の両面で積極的に取り組んできたKDDIの姿勢をアピールした(9月19日の記事参照)

 9月20日にはソフトバンクとイー・アクセスが、ゴールドマン・サックス、テマセク・ホールディングス、NECビッグローブ、ソネットエンタテインメント、ニフティ、フリービットとの共同出資で免許を申請することを明らかにした(9月20日の記事参照)

 申請は、KDDI連合が「ワイヤレスブロードバンド企画」、ソフトバンク/イーアクセス連合が「オープンワイヤレスネットワーク」という企画会社を通じて行う。資本金はワイヤレスブロードバンド企画が8億5000万円、オープンワイヤレスネットワークが200億5000万円。

 通信キャリアが連合を組む背景には、総務省が携帯電話の3Gサービスを展開する企業の単独参入を認めない方針を打ち出したという事情がある(5月15日の記事参照)。ただし、出資比率が3分の1以下の新会社経由という参入の余地を残したことから、提携を模索する動きが活発化した。

 なお、ドコモはアッカ・ネットワークスと組んで参入を目指すとしているが、パートナー企業の詳細など具体的なことは明らかにしていない(8月31日の記事参照)

 免許申請の期限は10月12日まで(8月7日の記事参照)で、総務省は年内にも参入事業者2社を決める予定。当初はPHS事業を展開するウィルコムと、ADSL大手のアッカ・ネットワークスへの割り当てが濃厚という見方もあったが、各社が提携策を打ち出したことからその行方は混沌としてきた(9月4日の記事参照)

筆頭株主が二転三転──新規参入のアイピーモバイル

 新規参入キャリア、アイピーモバイルの筆頭株主がまた交代した(9月19日)。7月13日に森トラストからアイピーモバイルの株式を取得した筆頭株主の米NextWave Wirelessが、反対売買のオプションを行使。森トラストがアイピーモバイルの全株式を買い戻すことになった。森トラストは、アイピーモバイルの杉村五男氏をはじめとする一部経営陣からの買い取り要請を受け、全株式を譲渡する契約を結んだといい、米NextWave Wirelessと森トラストが経営から手を引いた格好だ。

 アイピーモバイルは2005年11月、BBモバイルとイー・モバイルとともに新規参入キャリアに認定され、同社は2GHz帯を利用したTD-CDMA方式で携帯事業を展開すると発表。しかし資金調達が難航したことから、株主が二転三転。サービス開始も当初予定していた2006年10月から2007年春に延期された。アイピーモバイルは、米NW社との提携時に11月までにサービスを開始する予定としているが、具体的なサービスや料金体系、基地局の設置状況などは明かされていない。

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モバイルビジネスのオープン化に向け、総務省が本腰

 モバイルビジネスのオープン化に向け、総務省が動き始めた。9月18日のモバイルビジネス研究会で提出された最終報告書案を受け(9月19日の記事参照)、「モバイルビジネス活性化プラン」を打ち出した。

 オープン化に向けた課題として挙がっているのは、端末と通信料金の分離や販売奨励金モデルの見直し、SIMロックの解除などの検討を進める「モバイルビジネスにおける販売プランの見直し」、MVNOによる市場活性化を推進する「MVNOの新規参入の促進」、端末/ネットワークの両面からプラットフォームの連携を検討する「モバイルビジネスの活性化に向けた市場環境整備の推進」の3点。改善に向けた進捗は、識経験者で構成する「モバイルビジネス活性化プラン評議会」で検証するという。

 総務省は同日、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイルに、端末価格と通信料金の区分を明確化する取り組みを速やかに検討するよう要請。また、MVNOへの参入を検討する企業などへの対応を一元的に行う「MVNO支援相談センター」を開設するなど、オープン化の推進に向けた具体的な動きを見せている。

モバイル広告にPCの手法

 9月18日、グーグルがモバイル版コンテンツ向けAdSenseを提供すると発表した。サイトのコンテンツ内容に合った広告を自動で配信するグーグルの広告サービスで、サイト運営者にとっては規模の大小にかかわらず登録できることや手軽に導入できる点、広告主にとってはよりターゲットに近いところに広告を出せる点が特徴だ(9月18日の記事参照)

 端末の高機能化やディスプレイの大型化、通信速度の高速化に伴い、PC向けの広告手法を適用しようという動きが活性化。検索連動広告はモバイルでも一定の効果を上げており、KDDIは9月27日から提供する統合ポータルの「au one」に、モバイル向け行動ターゲティング広告を導入すると発表している(9月3日の記事参照)

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