作品名 | ブレイブワン(THE BRAVE ONE) |
監督 | ニール・ジョーダン |
制作年・製作国 | 2007年アメリカ作品 |
今回ご紹介する作品は、ジョディ・フォスター主演の『ブレイブワン』。ジョディ・フォスターが製作総指揮も務め、犯罪被害者の苦悩を繊細に演じています。幸福だった日々から一転、孤独で恐ろしい世界に突き落とされた主人公は、眠れない夜に携帯電話で救いを求めます。
エリカ(ジョディ・フォスター)はニューヨークのFMラジオ・パーソナリティ。婚約者デイビッド(ナビーン・アンドリュース)との挙式を間近に控え、幸せな日々を過ごしていました。デイビッドと招待状の封筒の色で揉めることさえ楽しく感じるほど、愛され満ち足りていたエリカ。しかし、突然悪夢が降りかかり、何もかもが奪われてしまったのです。
ある夜、デイビッドとエリカは公園へ愛犬の散歩に出かけました。目を離した隙に犬を見失い、公園の中を探していると、薄暗い物陰から犬の鳴き声が。エリカとデイビッドが恐る恐る近付くと、そこには犬を捕らえた3人の男がいたのです。暴言を浴びせる男たちにデイビッドは抵抗しますが、男たちは鉄パイプを持ち出し、殴る蹴るの暴行を加えます。男の1人はそんな様子をケータイカメラで笑いながら撮影するほど、卑劣で悪質。さらに無抵抗のエリカにまで、容赦なく暴力をふるってきたのです。
やがて病院のベッドで目覚めたエリカは、顔も体も傷だらけで生きていたのが奇蹟という状態。一方、ディビッドは亡くなり、エリカが意識不明で眠っていた数日間のうちに葬儀も済んでいたのです。エリカは最愛の人を亡くしたショックで、言葉も出ないほど。そんな悲しみに打ちひしがれるエリカの元に、ニューヨーク市警の刑事が事情聴取にやって来ますが、その冷たい対応にさらに心を傷つけられてしまいます。
退院する日が来て、エリカは自宅に戻りますが、そこにはデイビッドとの思い出がいっぱいで、喪失感はつのるばかり。そして、エリカは恐ろしい体験のトラウマで外出することができなくなります。他人がすべて自分を傷つける敵に見えて、身構えてしまうエリカは、自分を守る何かが必要だと感じ、拳銃を手に入れることにします。
思いがけず、あっさりと拳銃を手に入れることができたエリカは鞄に拳銃を隠し、たまたま入ったコンビニで、犯罪を目撃してしまいます。自分の身に危険が迫り、エリカは初めて弾丸を人に向けて放ちます。その銃声に驚きながらも、意外に冷静でいられたエリカ。しかし、強く確かなものを手に入れた安心感と罪悪感がエリカの心を支配していきます。
コンビニでの発砲事件の捜査にあたったのは、ニューヨーク市警のマーサー刑事(テレンス・ハワード)。以前に会った刑事よりは信頼できそうな男で、エリカのラジオ番組のファンでもありました。エリカは自分が発砲した事件の捜査状況を探るために、マーサー刑事に近づきます。
エリカはマーサー刑事の人柄に触れ、少しずつ心を許していきますが、その一方で拳銃の魔力に取り憑かれ、どんどん罪を重ねていきます。身を守り、安らかになるために手に入れた拳銃だったはずが……。自分の冒した罪と孤独感にさいなまれ、眠れない夜、エリカは携帯でマーサーに電話します。
「眠れない夜、あなたならどうする?」
「何もしない」
マーサーは優しい声で答えます。
「何もしないと不安じゃない?」
おびえているようなエリカに
「眠るまで電話していてほしい?」
と答えるマーサー。しかし、この夜、エリカはさらに罪を重ねてしまうことに。そして、マーサーはエリカの行動に対して、疑問を持つようになります。エリカが重ねた罪とは? そして真実を知ったマーサーが起こした行動とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.