ソフトバンクら7社、NFCによる非接触決済携帯の実証実験──国際的なサービス展開見据え

» 2007年11月13日 16時59分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

 ソフトバンクモバイルおよびマスターカード・ワールドワイド、ジェムアルト、オリエントコーポレーション、Samsung電子、日立製作所、日本ヒューレット・パッカードの7社は11月13日、NFC(Near Feild Communication:近距離無線通信)技術に対応する携帯を用いた非接触決済サービスの検討を開始すると発表。2008年度に実証実験を開始する予定。

 NFCは、2003年12月に国際規格化された13.56MHz帯を使用する近距離無線通信の規格。NFCチップを搭載する機器同士を近づけ、最大424kbpsで双方向通信できる。国内で広く普及するFeliCaや海外および国内の住民基本台帳カード、運転免許証などの公共系カードで使用するISO14443TypeA(Mifare)/ISO14443TypeBとも互換性があり、上記規格に対応するICチップへの読み書きに対応。ハンドオーバー(機器間通信)も可能とする。

 今回の実証実験は、ジェムアルトのNFC-USIMにマスターカードのPayPassアプリケーションを搭載し、NFC-USIMを差したSamsung電子のNFC対応携帯で店舗などに設置されるNFC対応非接触リーダー/ライターで迅速に決済を行うというもの。

photo MastarCard PayPass端末および決済ツールの見本

 マスターカードのPayPassは、迅速な決済が欲求されるファストフードやドラッグストア向けに開発されたIC技術を用いる非接触型決済ソリューション。2007年大3四半期現在、世界で1900万枚、PayPass利用可能店舗は7万3000に達し、米国やカナダ、イギリス、フランス、イタリア、スイス、スペイン、中国、韓国、台湾など20カ国で導入および実証実験が行われている。日本では千葉県・浦安市の複合型商業施設「イクスピアリ」や「千葉マリンスタジアム」、伊藤忠エネクスの一部ガソリンスタンド(キーホルダー型決済ツールなども導入)、都内の一部レストランなどに導入されている。

 各社は同プロジェクトを通じてワールドワイドでのサービス展開を見据え、国際標準規格ISO14443に準拠するNFC対応携帯の開発、検証および各種団体やサービスプロバイダ、システムベンダーなどと協議し、サービス商用化に向けて推進。NFC対応携帯およびインフラの国際的普及を目指す。

 2007年11月13日からフランス・パリで開催するICカードの展示会「CARTES 2007」で、現在検討する非接触決済のデモンストレーションを実施する。


プロジェクトにおける各社の役割
企業名(五十音順) 役割
オリコ ・PayPassの発行及びお客様利便性の検証
・加盟店向けサービスの提供およびPayPassのアクワイアリング業務
サムスン電子 NFCチップ搭載携帯電話の開発
ジェムアルト PayPass アプリケーション向けNFC-USIMプラットフォームの開発
ソフトバンクモバイル 本プロジェクトの設計、調整
日本HP NFC関連の情報システムの開発
日立製作所 NFC関連の情報システムの開発
MasterCard 国際決済ブランドとしてMasterCard PayPassアプリケーションの提供

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