インターネット事業での経験を生かし、携帯でも必ず成功する──ソフトバンク 孫正義氏Mobile Asia Congress 2007

» 2007年11月14日 21時32分 公開
[山根康宏,ITmedia]
Photo ソフトバンクの孫正義社長

 GSM Associationは11月12日から15日まで、中国のマカオ特別行政区で「Mobile Asia Congress 2007」を開催している。世界各地から携帯電話業界の関係者が集う大規模な携帯関連イベントとあって、日本からもNTTドコモの中村維夫社長とソフトバンクの孫正義社長が基調講演に登壇した。

 ソフトバンクの孫社長は、“Building a Mobile Broadband Business”と題した講演を行い、インターネット企業としてのソフトバンクが目指す携帯電話の将来像を話した。

インターネット企業としてのソフトバンクの強み

 孫氏は開口一番「ソフトバンクは日本でナンバー1の総合インターネット企業だ」と話し、日本でのこれまでの事業展開を説明した。中でも同社の主力事業の1つであるブロードバンドサービスは、価格の引き下げと回線速度の高速化を常に目標に据えて事業を推進した結果、シェアナンバー1の座を獲得。ソフトバンクの参入により業界全体に競争環境が持ち込まれ、今や日本のADSLによるインターネット接続は、世界で最も安く、最も高速になっているとした。

 一方携帯電話事業は、2006年にボーダフォンの日本法人を買収してから、約1年。同社の携帯電話事業への参入は、市場の誰もが反対し、「理解できない」とまで言われたそうだが、携帯電話の世界も今や収益は音声からデータ通信へ移り、モバイルブロードバンドサービスの時代となりつつある。この流れは同社が固定のブロードバンド事業で経験してきたことと同等であり、「ソフトバンクのこれまでの経験を生かすことができれば、携帯電話事業でも成功を収めることが必ずできるはず」(孫氏)と話した。

Photo インターネット企業として、日本国内でさまざまな分野でナンバー1の地位を確保したことをアピール

 また孫氏は、グループ企業であるYahoo! JAPANがインターネットの強力な統合ポータルサイトになっていることを、ユニークな表現を交えて紹介した。

 「Yahoo! JAPANはサーチエンジンとして日本国内で65%のシェアを持つトップサーチエンジンだ。またYahoo!オークションも、日本国内ではシェア9割以上と市場を独占している。そしてポータルサイトとしてのYahoo! JAPANは、2位サービスの10倍以上のページビューを稼いでいる。これは、海外ではそれぞれGoogle、ebay、本家の米Yahoo!と同レベルのマーケットシェアでありYahoo! JAPANはGoogle、eBay、Yahoo!を統合した強力なサービスと言える」(孫氏)

 ソフトバンクは今や、ブロードバンド事業と携帯電話事業に加えて固定電話事業を持ち、ポータルサイトとサービスを提供するYahoo! JAPANを持ち、さらにその上で利用できる多くのコンテンツまでもを提供している。すなわちグループ会社ですべてを提供できる総合マルチプレーヤーであり、名実ともに日本でナンバー1のインターネット企業であるとした。

PhotoPhoto 「Yahoo! JAPANはGoogleとeBayと米Yahoo!を統合したような統合サービス」と孫氏は説明した。ソフトバンクグループはインフラからコンテンツまで全てを提供している点を強調

「ケータイはインターネットマシンになる」

 続いて孫氏は「2006年に参入を果たしたときから、携帯電話事業のマーケットシェアはずっと3位。しかし加入者の純増数で見れば、この6カ月はシェア1位を確保している。この間の累計では、実に純増分の約半分がソフトバンクモバイルのサービスに加入している」と好調な携帯電話事業を紹介。ここまで加入者を増やすことに成功した要因として、携帯電話につけた[Y!]ボタンを挙げた。

 ソフトバンクケータイの利用者は、端末に用意された[Y!]ボタンを押すだけで、ソフトバンクモバイル向けのYahoo! JAPANの携帯版画面「Yahoo!ケータイ」にアクセスできる。Yahoo!ケータイはPC版のYahooと同じサービスを提供しており、PCと同様にニュースやスポーツ情報、ファイナンス、オークション、ショッピングなどのサービスが利用可能だ。1クリックでYahoo!のサービスが利用できるという手軽さから、Y!ボタン設置後のYahoo!ケータイポータルアクセス数は、それ以前の75倍に上った。ユーザーに使いやすいキーを設置したことだけでなく、Yahoo!という強力な資産を所有していたからこそ利用者をここまで増やせたのだと話した。

PhotoPhoto 純増シェアは6カ月連続でトップを獲得。孫氏はこの快進撃の要因の1つに、Y!ボタンを設置したことを挙げた。Y!ボタンを設置して以来、ポータルのYahoo!ケータイへのアクセスは75倍になったという

 「今後は3Gの加入者が増加することにより、携帯電話上でインターネットサービスをより容易に利用できるようになる」と孫氏は言う。それによってデータARPUが増えることも期待でき、ソフトバンクの携帯電話事業はさらにインターネットにフォーカスしていくという。

 「インターネット企業のソフトバンクは、携帯電話をインターネットマシンにする」(孫氏)

 孫氏はソフトバンクの2008年3月期中間決算説明会と同様、力強く宣言してスピーチを締めくくった。

Photo 技術の進化、特に高速化により、今後ますますデータARPUの比率が増えていくと説明。ソフトバンクの携帯電話事業はインターネットにフォーカスしていく

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