2008年にはHSUPAのサービスを開始できる──NTTドコモ 中村維夫氏Mobile Asia Congress 2007

» 2007年11月14日 23時27分 公開
[山根康宏,ITmedia]
Photo NTTドコモの中村維夫社長

 11月12日から15日まで、中国・マカオ特別行政区のThe Venetian Macauにて、GSMAが主催する「Mobile Asia Congress 2007」が開催されている。アジアを中心とした携帯関連企業による展示のほか、業界のキーパーソンによる講演も行われた。

 NTTドコモの中村維夫社長は、世界でも最先端を行くサービスを実現している日本の携帯市場の現状と、同社の生活サービスを中心としたこれからの戦略を語った。

「いつでもどこでも誰にでも」を実現する905iシリーズ

 中村氏はまず、日本の携帯電話市場の現状を説明した。

 日本では既存の携帯電話事業者3社に加え、2007年3月にイー・モバイルが新規事業者として参入を果たし、現在携帯電話事業者は4社存在する。しかし、NTTドコモは依然50%以上のシェアを保つ最大の事業者だと紹介。また顧客の3Gサービスへの移行が順調に進んでおり、全体として3G利用者が非常に多いことが日本市場の特徴であると説明した。

 さらに日本では端末の高機能化が著しく進んでいるとし、この冬に発売予定の同社905iシリーズを簡単に紹介した。905iシリーズはワンセグ、HSDPA、おサイフケータイ、GPSなど多彩な機能を搭載しており、さらに国際ローミング対応としてGSM方式もサポート。これにより「いつでもどこでも誰にでも」という、同社の目指すシームレスなユビキタス環境を実現できると話した。

PhotoPhoto ドコモは依然携帯電話市場で過半数のシェアを持つ事業者であり、フル機能を搭載した905iシリーズの投入で生活のユビキタス化を進める

生活アシスト、パケット定額、国際サービスに注力

 今後ドコモは、より生活に密着したサービスを提供することを重点におき、携帯電話が社会インフラに欠かせない生活必需品となることを目指しているという。それを実現するためにドコモが掲げるのが、

  1. 生活アシスト機能
  2. パケット通信料の定額制
  3. 国際サービスの拡充

という3つの重点ポイントだ。

 生活アシスト機能とは、生活を便利にするための機能を指す。日本ではすでに携帯電話は誰もが日常的に利用するツールになっているが、より便利な機能を提供していくことで「朝起きてから夜寝るまで」携帯電話が生活のアシスタントになることを目指す。その一例として、日本では携帯電話で買い物ができるだけではなく、電車の切符や航空券、さらにオフィスやアパートの鍵など、セキュリティー機能が必要なシーンにもその利用範囲が広がっているおサイフケータイの実例を紹介した。

PhotoPhoto ドコモの今後の重点ポイントとなるのが「生活アシスト」「パケット定額」「国際サービス」の3点。生活アシスト機能は、起きてから寝るまで、日常生活を携帯電話がアシストするイメージ

 パケット通信料の定額制は、携帯電話でインターネットに接続してメールやコンテンツを利用するという、今や当たり前になりつつある機能を心おきなく使えるようにする。また今後提供される新しいサービスも、パケット通信料が定額であれば利用者が料金を気にせず気軽に利用できる。こうした考えから、ドコモでは定額のパケット通信料を早い時期から導入しており、今後も加入を推進していく。

 自分の携帯をそのまま海外でも使える国際ローミングサービスにも、今後は積極的に取り組む。2Gの世代では、海外で主流となったGSMとは異なる、PDCという通信方式を採用した日本では、携帯電話が国内でしか使えないものになってしまった。しかし3GではW-CDMA方式を採用したため、海外でもW-CDMA方式のサービスを行っている国でローミングサービスが利用ができるほか、GSMの搭載を推し進めることで、世界中で自分の携帯電話を利用できる環境を提供していく。11月13日から、マカオでローミングサービスの提供を始めることも講演の中で明らかにされた。

 またアジア全体で、利用者の国際ローミングの利便性を高めるために、国を超えた事業者によるアライアンス「Conexus Mobile Alliance」を2006年に組織。共同でローミング料金の割引なども提供していることを紹介した。

PhotoPhoto パケット定額を導入することで、利用頻度が増加する。定額制加入者は増加傾向にある。国際戦略では、特にローミングサービスとアライアンス間の協力を強化していく

次世代技術の早期導入を目指す

 無線技術の進化については、W-CDMAに加えてHSDPAサービス(FOMAハイスピード)を提供中であり、2008年にはHSUPAのサービスも開始できるだろうとの見通しを示した。

 またその先のスーパー3Gも開発を進めており、早い時期での導入を目指したいと中村氏は話す。高速なデータ通信は映像コンテンツなどの、大容量データのダウンロード速度を短縮でき、ユーザビリティーを高めるだけでなく、事業者にとっても新しいビジネスを生む大きなチャンスになるという。ドコモは2007年7月からスーパー3Gの実証実験を開始しており、今の3G技術をベースに最大300Mbpsまでの高速化を目指している。

 さらに次の世代となる4Gも開発は進めており、中村氏は「最大1Gbpsでの商用化を目指す」と語った。すでに研究所では5Gbpsでの通信に成功しており、今後は国際標準化への取り組みなど、同社の技術開発が携帯電話産業全体の発展に貢献できるものであるとアピールした。

PhotoPhoto ドコモの3G以降の技術ロードマップ。2008年にはHSPAをスタートし、2009年にはスーパー3G、そして2010年には4Gへと移行していきたい考え。通信速度の高速化は、新しいサービスの提供を可能にする

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