ドコモの905iシリーズにプリセットされる地図アプリは、ゼンリンデータコムの協力を得て同社が開発したものだ。全機種がフルワイドVGAディスプレイを搭載し、FOMAハイスピードに対応する905iシリーズ向けということで、地図アプリはVGA解像度のディスプレイとFOMAハイスピードでフル活用できるように作られている。
地図アプリには「今いる場所」「周辺を調べる」「地図を見る」「ナビをする」「乗換案内」「おしゃべり検索」「直感★地図」の7メニューが用意され、利用開始から90日間は全ての機能を利用できる。最初の利用から90日以降、「今いる場所」「周辺を調べる」「直感★地図」以外の機能を利用する場合は、月額315円の「ゼンリン地図+ナビ」に加入する必要がある。他のコンテンツプロバイダのアプリは地図アプリとは連携していないので、例えば他の地図関連サービスでナビを利用する場合は、他サービスのアプリを別に起動する必要がある。
地図アプリの開発を担当したマルチメディアサービス部コンシューマーサービス企画 コミュニケーションサービス企画担当課長の正垣学氏が「細かいところに気を配った、使いやすいサービスに仕上がった」というこのアプリは、どんな特徴を備えているのか。同氏に地図アプリのハイライト機能について聞いた。
「地図やナビになじみのない人にも、使ってもらいたい」というコンセプトで開発された地図アプリは、地図上の情報量が多いことが特徴の1つだと正垣氏は説明する。例えば「今いる場所」の「地図を見る」を選んで地図を表示させると、ビル名やコンビニ、銀行、駐車場、ファストフードなどのアイコンが表示されるほか、大きなビルが立体で表示されるなど周辺に何があるかが分かりやすい。
「情報量の多さは、ゼンリンデータコムとの協業の成果。詳細な住宅地図を持っているので、ビルの名前やテナントなど、詳細な情報を調べられる」(正垣氏)
地図の上下左右に「その方向にいくと、どこに向かうことになるのか」が分かる地名が表示されるのも便利な点だ。「“今いる場所からどっちに向かったら、どの住所にたどり着くかが分からない”という声に応えて、上下左右に住所や駅を表示している。これまでありそうでなかった機能」(正垣氏)
地図を表示させた状態で決定キーを押すと出てくるのが「クイックメニュー」。十字キーの上下左右に「周辺を調べる」「ココへナビ」「ココをメール送信」「ココを登録」が割り当てらるほか、ダイヤルキーの[1]で「3Dパノラマ」、[2]で「ビル テナント」、[3]で渋滞情報にアクセスできる。
ここで3Dパノラマを選ぶと、パノラマ表示に対応した場所の写真や3D画像が地図の上部に表示され、周囲の景色を確認しながら進行方向を確認できる。地図は左右のパンや上下の視点切り替えにも対応するなど、凝った作りだ。「駅から出たときに、どっちに向かって歩き出せばいいのか分からないときなどに便利に使える」(正垣氏)
ビル テナントを選ぶと、地図上に付近のビル名が吹き出しで表示され、[4]キーと[5]キーで目的の地図を選んで決定キーを押せば、そのビル内にどんな店や企業が入っているかを確認できる。「ゼンリンデータコムが地図を作るに当たってテナントを把握しており、情報を持っているビルについてはそれを表示する。テナント情報はゼンリンデータコムの地図情報の更新に合わせて、アップデートされる」(正垣氏)
地図アプリには、iDを使える店やホットペッパーのクーポンが使える店を検索する機能も用意されている。「周辺を調べる」の「ジャンルから」を選ぶと、「iDを使える店」というメニューが表示され、「飲食」「コンビニ」「タクシー」など15のジャンルから対応ショップを検索可能。ホットペッパーのクーポンを使える店は「周辺情報を調べる」の「グルメ」内にメニューがあり、店のジャンルや料理からクーポン対応の店を探せる。地図アプリ経由でその店のクーポンにアクセスできるのも気が利いている。
ナビゲーション機能は、徒歩と乗り物を分断することなくドアトゥドアでトータルにナビゲーションできるようにした。例えばGPSの電波を受信できる場所を走る電車に乗っている場合は、「電車の中で寝てしまった場合でも、どのあたりにいるのかが分かる」という。
905iシリーズならではといえるのが、カメラで端末の傾きを検知して地図を動かす「直感★地図」と「直感★3D」だ。直感★地図は、決定キーを押しながら端末を傾けると、それに合わせて地図が上下左右にスクロールする機能。直感★3Dは、3D表示された地図の視点を端末の傾きで変えられる機能で、地形の起伏を立体表示で確認できる。
自分の歩いた軌跡を外部メモリに保存する「足あと」もユニークな機能だ。自分の足跡を残したり確認したりする機能のほかに、「みんなの足あと」が用意され、どの時間のどの場所に人が集まっていたかを確認できるという。「みんなの足あとは、GPSを使った人がアプリを起動した地点をサーバに保管することで(誰が起動したかの情報は保存されない)、どの時間帯にどこに人がいたかを感覚的に見せるもの。いつ、どの時間帯に、どこにどれくらいの人がいたかの目安になる」(正垣氏)
このように、さまざまな独自機能を搭載した地図アプリを、「まずは使ってみてほしい」と正垣氏。「普段、地図を使わない人につかってもらうことをメインに考えて開発したので、まずは試してみてほしい。そこから上がってきた声を今後の開発に生かして、さらに使いやすいアプリにしていきたい」(正垣氏)。今後は、ドコモがリリースしているユニバーサルケータイやキッズケータイに最適化した地図アプリの開発も検討しているという。
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