無線LANや第3世代(3G)携帯電話に続く高速の無線通信サービスが2009年以降に登場する。NECは12月10日、WiMAXおよび携帯電話の新規格「LTE(Long Term Evolution)」、小型基地局「フェムトセル」の各技術について、最新動向を紹介した。
2009年以降は、総務省が免許審査を行う2.5GHz帯を利用した広域ワイヤレスアクセスシステムの1つ「モバイルWiMAX(IEEE802.16e)」や、3.9世代携帯電話システムのLTEが商用化される見込みだ。また、これらのシステムを補完する技術として、「フェムトセル」と呼ばれる小型基地局も実用化に向けて開発が進められている。
モバイルネットワーク事業本部長を務める遠藤信博執行役員は、「ブロードバンド化はコンテンツの利用拡大を生み、さらには有線から無線へのシフトも始まった」と述べた。
WiMAXには、大きく固定通信を補完する用途の「固定WiMAX」(IEEE802.16-2004)と移動体通信用途のモバイルWiAMXに分かれる。日本を中心としたアジア各国は移動体向けサービスに注目し、NECもモバイルWiMAX技術に注力してきた。「デジタルディバイド(情報格差)解消が優先だが、最後は移動体通信が主役」(遠藤氏)
NECは、これまで北海道や台湾でモバイルWiMAXシステムの実証実験を進め、今月6日に商用システムとしては初めて台湾の大同電信から基地局設備を受注した。今後は、端末から基地局、事業者の基幹ネットワークシステムまで、すべてのモバイルWiMAX製品を「PasoWings」の名称で世界展開するという。「2010年には通信事業者向けシステムで2500億円市場になり、最低でも10%以上、できれば20%のシェアを確保して主導権を取りたい」と遠藤氏は話す。
モバイルWiMAXの特徴の1つは、国際ローミングへの対応。2.5GHz帯/3.5GHz帯/5.8GHz帯の使用する国が多く、これらの国では1台の端末で各国のサービスを利用できる。だが、ローミング制限や周波数帯が異なる地域も一部あり、NECは国家間の相互接続性の向上を目的に、英国やフランス、ルーマニア、スペイン、ドイツ、ブラジルなど15カ国に実証実験エリアを拡大させるという。
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