ドコモの冬モデルとして登場した905iシリーズは、「ALL IN 世界ケータイ」というキャッチフレーズが示すとおり、全機種が3Gローミングに対応し、8機種がGSMローミングに対応するなど海外での利便性が向上している。GSMローミングを利用すれば、音声通話を154の国や地域で、iモードを105の国や地域で、テレビ電話を40の国や地域で利用でき、海外でも携帯を使ったコミュニケーションが可能だ。
905iシリーズの対応機種 | 利用可能なエリア(2008年1月8日時点) | |
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3Gローミング | D905i、F905i、N905i、P905i、SH905i、SO905i、N905iμ、SO905iCS、P905iTV、SH905iTV | 51の国や地域で音声通話、SMS、iモード、41の国や地域でテレビ電話が可能。 |
GSMローミング | D905i、F905i、N905i、P905i、SH905i、SO905i、N905iμ | 155の国や地域で音声通話とSMS、107の国や地域でiモード、41の国や地域でテレビ電話が可能 |
海外での利用が増えることを受け、音声認識エンジンを搭載する905iシリーズ7機種向け(D905i、N905i、P905i、SH905i、N905iμ、P905iTV、SH905iTV)にドコモが用意したのが「しゃべって翻訳」iアプリ。アプリを起動し、マイクに向かって最大10秒までの日本語のフレーズを話すと翻訳結果が英語で表示され、英語を話すと日本語の翻訳結果が表示されるというものだ。
しゃべって翻訳iアプリの開発陣に、この機能の仕組みと翻訳精度について聞いた。
しゃべって翻訳iアプリは、声で遊べる直感ゲームと同様、905iシリーズの一部機種に搭載された音声認識エンジンを利用している。マイクで拾った音声を解析して波形データに置き換え、そのデータをサーバに送信して翻訳するという仕組みだ。音声の生データを送信するものではないためサーバに送るデータ量は少なくてすむが、海外ではパケット通信料が日本と異なることに加え割引が適用されないので、使いすぎには注意が必要。NTTドコモ プロダクト&サービス本部 プロダクト部 第一商品企画担当主査の安藤智浩氏によれば、「海外で利用した場合、1回あたりの翻訳にかかるパケット料金はだいたい50円から100円程度。デコメールを1通送るのとほぼ同じくらい」で利用できるという。
サーバ側には翻訳辞書として旅行会話に限定した7万5000語が用意され、英語から日本語の翻訳は、「ネイティブの発音でないと認識しない」(安藤氏)。発音は、英米豪の3カ国に対応しており、英語圏の幅広い地域で利用できるようにしている。
なお、音声で翻訳の元になるフレーズを入力する場合、テキスト入力に比べて日本語表現があいまいになりがちだが、しゃべって翻訳アプリはこうしたあいまいさもおおむね吸収するという。「かなり多くの辞書をサーバ側で持っているので、けっこう複雑な表現でも認識してくれますし、ある程度までなら早口でしゃべっても大丈夫です。旅行に使われそうな言い回しに絞ってデータベースを充実させていることも精度が高い理由の1つでしょう。使っていただくと分かると思いますが、“こんなことも認識するんだ”というレベルのフレーズも認識しますし、厳密に“こういう文章じゃないとダメ”ということはありません。ただし、(日本語から英語に翻訳する場合)方言には対応していません」(安藤氏)
この機能が、海外で困ったことが起こったときに役立つと話すのはNTTドコモ プロダクト&サービス本部 プロダクト部第一商品企画担当部長の板倉仁嗣氏だ。「例えば、旅先で腹痛を起こして病院を探す場合などでは、英語ができる人でも難しい表現になると伝えられないことがあります。しゃべって翻訳アプリを使えば、それをホテルの人に見せるだけですむのです」(板倉氏)
しゃべって翻訳はサーバ側に翻訳データを持つことから、比較的容易に他の言語にも対応できると安藤氏。しゃべって翻訳が他の言語に対応した場合でも、対応端末を持つユーザーなら端末を買い替えることなく利用できるわけだ。
他の言語への具体的な対応について安藤氏は「現状では未定」としながらも、ケータイを使った翻訳機能のニーズを計りながら検討を進めると話している。
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