陰日向に咲く「居場所がわかったんですか?」Mobile&Movie 第292回

» 2008年02月01日 21時22分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名陰日向に咲く
監督平川雄一朗
制作年・製作国2008年日本作品


 今回ご紹介する作品は、劇団ひとりのベストセラー小説を映画化した『陰日向に咲く』。日のあたらない場所で暮らす人々の人生が少しずつ重なりあった時、奇跡の瞬間が訪れます。

 シンヤ(岡田准一)は、ギャンブルにハマって400万もの借金を作り、ダメダメな毎日を過ごしていました。上司には借金返済のために頑張っているところをアピールしているもののパチンコの誘惑は耐えがたく、給料日には自然に足が向いてしまうのです。またパチンコに負けて肩を落として帰る道、シンヤは偶然ヒサコ(宮崎あおい)と出会います。

 母親の昔の恋人を探しに東京へ来たとシンヤに打ち明けるヒサコ。30年以上前の思い出が綴られた母の日記帳を見つけ、内気な性格の母親が漫才コンビを組んでいたと知って驚いたとヒサコは話します。そして、母がその相方だったライタという男性を想っていたことを知り、もう一度2人を会わせたいというのです。そのヒサコのまっすぐな眼差しに、シンヤは自分も手伝うと約束します。

 シンヤとヒサコが出かけたのは、浅草のストリップ劇場。ヒサコの母はそこで、漫才をしていたというのです。ライタの居場所を聞き込みしますが、依然わからないまま。それでも探し出せることを信じて疑わないヒサコ。

 シンヤは、ひたむきなヒサコと出会って、運気が上がってきたように感じていましたが、相変わらず借金の返済に追われ、とうとうアパートにまで借金取りが押し込んでくる始末。親に頼れという借金取りに、それだけはイヤだとはねつけるシンジ。だったらしかたがないと、オレオレ詐欺を強要されて……。

 一方、会社員のリュウタロウ(三浦友和)は、同じことを繰り返す日々に疲れ切っていました。仕事人間だった自分を脱ぎ捨てて、なりたいと願ったのはホームレス。それっぽく見える格好に着替え、ホームレスの溜まり場に向かったところ、さりげなくなじむことができました。新人のホームレスとしてリュウタロウを暖かく迎えてくれたのは、モーゼ(西田敏行)と呼ばれるベテラン。リュウタロウはどこまで本当かウソかわからない自慢話を延々聞かされるのに辟易しますが。モーゼの懐の深さだけは尊敬するようになりました。リュウタロウが公園で寝泊りする生活に慣れた頃、モーゼの大ホラが人生の逆転ホームラン級を放つことに……。

 こうして台風が接近しつつある真夏の東京で、不思議な出会いの点と点が結びつき、大きな奇跡を生み出そうとしていました。その糸口となったのは、ヒサコの携帯電話に入った連絡。

 「居場所がわかったんですか?」

 ヒサコはライタに出会えるのでしょうか? そして、ホームレスになったリュウタロウの運命は? さらに、オレオレ詐欺で出会った相手もまたシンヤの運命を変える人物だったのです。物語終盤、シンヤが心情を告白する場面でも、携帯電話が重要な役割を担っています。

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