パナソニック モバイルコミュニケーションズは2月1日、2008年春商戦向け製品に関する戦略説明会を開催。2007年度第4四半期に投入する製品の概要とその狙いを説明した。
2008年春商戦向けとして同社は、ドコモ向けに「P905iTV」「P705i」「P705iμ」「PROSOLID μ」、au向けに「W61P」、ソフトバンクモバイル向けに「920P」「822P」と、全7機種もの端末を投入。ハイエンド、ワンセグ、薄型、デザイン、ビジネス、女性層など、幅広くターゲットユーザーを設定できる、さまざまな特徴を持つモデルを用意する。
現在、ドコモの「P905i」が好調に売れているパナソニック モバイル製端末。その出足は過去のFOMA端末と比べて1.5倍から2倍にも上るという。ただ、発売当初から最近まで、かなり在庫不足に陥る事態があったことについて「P905iはおかげさまで大ヒットとなりました。しかし、ユーザーの多大な評価をいただいたことで当初の想定を上回り、ユーザーの要望に沿うかたちで商品展開できていない事態になりました。改めてお詫びするとともに、お待たせすることのないよう鋭意努力しておりますのでしばらくお待ち願えればと思います」(パナソニック モバイル 商品企画統括の瀧川裕氏)と陳謝する。
P905iの在庫不足は2008年2月現在、解消に向かいつつある。2007年11月に発売した905iシリーズは、春商戦向けとしても大きな需要がある重要モデルとして展開していく考えだ。
そして、春商戦向けに投入する新機種は以下の訴求ポイントを軸に開発された。
冬商戦モデル「905i」の購入ユーザーは、同社の購入者アンケートによると、携帯としての高い基本スペック、ワンプッシュオープンなどの“P”ブランド、特に、P905i特有の付加価値となる“VIERAケータイ”と“Wオープンスタイル”を主な購入動機に挙げているという。ユーザーは、高解像度ディスプレイやデザイン、高画素カメラ、高速通信、ワンセグ、FeliCaといった、自分が望む基本スペックを持つことを前提に、プラスαの差別化ポイントを考慮する。ここでは、“P”端末ならではのワンプッシュオープンボタンや、横にも開けるWオープンスタイルといった“ギミック”とパナソニックやVIERAブランドの存在が大きなポイントになった。
春商戦向けのハイエンドモデルは、携帯に高いスペックを望むユーザーに向けてワンセグ機能をより強化した「P905iTV」をドコモ向けに投入。さらに、ソフトバンクモバイルにはP905iとほぼ同スペックの“VIERAケータイ”「920P」を提供する。VIERAケータイを“面で展開”する作戦だ。
P905iTVは、P905iからワンセグ・映像機能をより強化した905iシリーズの企画端末。ワンセグ携帯最大級のフルワイドVGA(480×854ピクセル)対応3.5インチディスプレイと「モバイルPEAKSプロセッサー」を中心とするVIERAで培った高画質化技術、15fpsのワンセグ放送を30fpsに倍速化して表示する「モバイルWスピード」、より受信感度を上げる「高感度ダイバーシティアンテナ」を実装し、高音質なステレオスピーカー付き卓上ホルダが標準で付属する。
920Pは、“Wオープンスタイル”にフルワイドVGAの3インチ液晶、ワンセグ、HSDPA、国際ローミング(3G/GSM)、5Mピクセルカメラなど、P905iとほぼ同様のスペックを備えるのが特徴。「P905iと920Pはかなりの部分で同じ仕様。デザインをP905iと近いものにしたのも、あえてです。携帯キャリアを問わず、ユーザーが望む端末を幅広く提供したかったからです」(瀧川氏)
この面展開は携帯キャリアにとって、「“あの”端末がないので、キャリアを変える」を防げる手段の1つとなる。もちろん「この端末があるから、加入する」効果は半減することになるかもしれないが、ユーザーとしては「自分の加入する携帯会社に望みの機種が登場するのであれば、それが一番望ましい」と思われる。
今後、ドコモとソフトバンクモバイル双方、あるいはauも含めて、(必ずほぼ同じスペックのものを用意するわけではないとは思うが)P905iのように「この端末がこのキャリアにあれば……」というほどニーズがあると予想される機種に関しては、今後、複数のキャリアで面展開していく可能性が高くなるといえそうだ。
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