歓喜の歌「ちょっと遅れそうなんだよ」Mobile&Movie 第293回

» 2008年02月08日 14時27分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名歓喜の歌
監督松岡錠司
制作年・製作国2008年日本作品


 今回ご紹介する作品は、立川志の輔師匠の新作落語を映画化した『歓喜の歌』。“志の輔らくご”の庶民の悲喜こもごもの物語を、美しい歌声にのせて映像化しています。主人公の中年男性は、人生に後ろむきな公務員。ことなかれ主義で過ごしてきたはずが、大晦日前にトラブルに見舞われます。

 町の文化会館で働く飯塚主任(小林薫)は、今日も部下の加藤(伊藤淳史)相手にいばり顔。飯塚の生き方は、優柔不断で、責任は人に押し付け、いつでもいい加減なのです。今では妻(浅田美代子)にも愛想をつかされて別居中。年末だけは久しぶりに、娘と2人で食事をする約束をしていました。今回こそ飯塚は妻と娘にいいところを見せようと、携帯電話で何度もレストランの予約を確認します。

 暮れも差し迫った12月30日、飯塚は文化会館にかかってきた1本の電話を受けます。

 「はいはい、お待ちしてま〜す」

 調子よく答える飯塚。加藤はその応対を聞いて首をかしげます。飯塚が今、電話を受けたのは“みたまレディースコーラス”、大晦日に予約が入っているのは“みたま町コーラスガールズ”ではないかと。よくよく調べると、飯塚と加藤がそれぞれ連絡を受け、名前が似ているのでひとつのコーラスグループと間違えて、同じ日=大晦日にダブルブッキングをしていたことが判明します。飯塚はどうせママさんの集まりと、どちらかにコンサートを中止するよう頼みに行くことに。

 後から予約を入れてしまった“みたまレディースコーラス”にまず、お願いしにいったものの、リーダー(由紀さおり)はきっぱり拒否。ならば、“みたま町コーラスガールズ”に辞退をと頼みますが、こちらにも断わられ、にわかに飯塚はあせり出します。娘との約束を思い出し、期待を裏切らないようにと、仕事でトラブルがあったことを携帯電話で連絡します。

 「ちょっと遅れそうなんだよ」

 “みたまレディースコーラス”には市長夫人が在籍しており、飯塚はこちらを立てようとしますが、加藤は学生時代の憧れの先生が率いる“みたま町コーラスガールズ”を応援。2つのグループの板ばさみにあって、右往左往するばかり。

 何とか時間を作って妻と娘に会いに行きますが、食事の席でも飯塚の携帯電話は鳴りっぱなし。何とか家族との会食をこなしたものの、飯塚の身にさらなる災難が降りかかってきます。

 そんな時、救世主として現われたのが“みたま町コーラスガールズ”のリーダー、五十嵐(安田成美)。ダブルブッキングを解決する提案をしてくれたのです。妻に役立たずといわれる飯塚が、携帯電話にどんどん降りかかってくるトラブルをはね除け、どんな大晦日を迎えたのでしょう?

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