厚さ12.9ミリを実現し、90xiシリーズ初の“μ”ブランドを冠する端末となったN905iμ。ワンセグは非搭載ながら、3インチのフルワイドVGAディスプレイ、FOMAハイスピード、GPS、国際ローミング(3G/GSM)、おサイフケータイなどハイエンド端末にふさわしい多機能ぶりを見せる。ハイエンドモデルながら、薄くスタイリッシュで、使いやすさを兼ね備えたN905iμはどのように開発されたのか。N905iμの商品企画を担当したNEC モバイルターミナル事業本部の二滝孝氏に話を聞いた。
N905iμと「N905i」は同じNTTドコモの2007年冬モデルとして発表されたため、同じ“N”端末として、ツートーンカラーを採用したデザインなど全体的な印象を似せている。しかし、細かいディティールを見ると、N905iが背面パネルに金属を使ってテクスチャーの違いを出しているのに対し、N905iμはカラーごとに異なる深みのある塗装で仕上げている。
また、N905iがスクエアフォルムでハードな印象であるのに対し、N905iμは丸みのあるすっきりとしたフォルムで、エレガントな印象を与えている。「N900i」から「N903i」まで採用されていた“アークライン”や“Link Face Design”といったデザインコンセプトを継承しているといえるだろう。
二滝氏は、「N905iμは、全体のフォルムから細かいディティール、そして質感を左右する表面仕上げなどを重視して開発しました。ハイエンドな90xシリーズの中でも、デザインやサイズを重視する方にお勧めしたいですね」と説明する。
特に背面パネルは、ソリッドカラーを使うのではなく、偏光させたり、粒子を入れたりして深みや立体感を表現した。初めてN905iμを見た人が「これは漆塗りですか?」と聞くこともあったという。化粧品のボトルをイメージした外観と合いまって、従来とは違った高級感を演出している。
「今回用意した4色カラーバリエーションは、どれも表情のある色味です。NECとして初の試みという部分があり、一味違った色を表現するために苦労しました。ややおとなしめのデザインかもしれませんが、性別や世代を問わずに使っていただけると思います」(二滝氏)
N905iμはダイヤルキーにシートキーを採用した。キーは1つ1つが独立した形状ではなく、棒状の突起で区分されている。この突起が描くカーブの半径は、本体先端部の丸みと同じだ。外観だけでなく内面の各所にもラウンド形状をあしらうことで、デザインに統一感を出し高級感も演出した。
しかし、シートキーは人によって好き嫌いがあるのも事実。NECも70xiシリーズでシートキーを採用しているが、これまでに“押しにくい”“キー自体が小さい”という不満が寄せられたという。そこで、N905iμではキーのサイズを大きくし、これまで以上にクリック感が感じられるようにしたという。
内蔵コンテンツは、N905iシリーズの裏コンセプトである「Cool Japan」に沿って、華道家・假屋崎省吾氏の作品によるオリジナル待受画像などを内蔵している。
假屋崎省吾氏によるオリジナル壁紙は、構図や花をすべて假屋崎氏が手掛けたもの。「VGA液晶のディスプレイをきれいに見せたいという狙いから、うちの技術者も立ち会って、チェックしながら撮影を進めました。假屋崎さんには奇抜なアイデアを出していただき、かなりノって作っていただきました。青い部分は本物の木です。カリヤザキブルーといわれている色だそうです」(二滝氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.