ほどほどが魅力の“モテかわコンパクト”ケータイ――京セラ「W61K」開発陣に聞く「W61K」(1/2 ページ)

» 2008年02月14日 00時00分 公開
[房野麻子(聞き手:平賀洋一),ITmedia]

 auの「W61K」は、京セラ製のコンパクトなスタンダードWIN端末。幅47ミリと細身で持ちやすいボディに、背面パネルの縁を彩るカービングイルミネーションや、1人で夜道を歩く女性に配慮した「フェイク着信」などを搭載するモデルだ。

 W61Kの開発コンセプトやスタンダード端末としてのこだわりについて、京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部の川居伸男氏と、同 商品戦略部デザイン課の城ノ下恭博氏に聞いた。

photophoto 京セラの「W61K」

“女性が手に持ってちょうどいい”コンパクトさ

photophoto 企画担当の川居伸男氏(左)と、デザイナーの城ノ下恭博氏(右)

 端末の企画を担当した川居氏は、W61Kのコンセプトについて「メール、通話、カメラという携帯電話の基本機能を重視し、普段着のように気軽に使ってもらえるケータイとして開発しました。ワンセグを搭載すると、画面を大きくしなくてはならないという意見も必ずでてきます。その結果、ボディサイズも大きくなってしまいますが、今回はワンセグ非対応ということで割り切り、非常にコンパクトに仕上げています」と説明する。

 高機能モデルを求めるユーザーがいる一方で、シンプルなモデルを求めるユーザーも多い。比較的高機能モデルを好むと言われる若年層でも「複雑すぎて、全ての機能は使わない」という人もが出てきているという。W61Kはそういう層をターゲットにしたモデルだ。

 「モノに対する感動より、“ケータイって普段よく使うものだよね”という普段使いの便利さを求めている方にお勧めのモデルです。機能も普段よく使うところを改良しています」(川居氏)

 とはいえ、2.7インチワイドQVGA液晶、AF付き2メガカメラ、PCサイトビューアー、おサイフケータイなど、今時の携帯電話に求められる部分はしっかりと押さえた。ボディは約47(幅)×99(高さ)×17.8(厚さ)ミリと非常にコンパクトで、特に幅47ミリという数値は歴代のWIN端末で最小。女性層を意識したモデルでもあり、小さな女性の手でも握りやすく、持っていて心地よい幅を目指したという。

 京セラのスタンダードモデルには、ベストセラーとなった「W44K」や2007年冬モデルのワンセグケータイ「W53K」などがあるが、主に男性ビジネスマンをターゲットにしていた。男性はケータイをポケットに入れて持ち歩くことが多いため、薄い端末を好む傾向がある。一方、女性向けのW61Kは「ポケットに入る薄さではなくて、バッグの中にポンと入れられるコンパクトさ」(川居氏)を狙ったという。

 「女性はポケットではなく小さいバッグやポーチに携帯電話を入れて持ち歩くことが多いですね。バッグにいろいろなものと一緒に詰め込むことを考えて、体積をギュッと小さくしました。収まりやすく、取り出しやすくするため、薄さよりも全体的なコンパクトさを重視しています」(川居氏)

 高機能化する一方で、“携帯する電話”という本来の目的から外れてサイズが大きくなっている最近の“ケータイ”に対し、W61Kは原点回帰的な思いで持ちやすく携帯しやすい端末として開発したという。しかし、機能が貧弱ではユーザーからの支持は得られない。コンパクトにしつつ基本機能はしっかり搭載して、サイズと機能性のバランスに気を遣っている。

さりげなく、かわいらしく、上品な光で演出

 W61Kのデザインは、シンプルで飽きのこないスタンダード端末らしいものだ。そのボディをさりげない光で彩るのが、背面パネルをU字に縁取って光る「カービングイルミネーション」だ。

 イルミネーションといってもネオン看板のような派手さはなく、明るさはいたってひかえめ。端末の開閉時や通話着信、メール受信、おサイフケータイの利用時などにほんのりと点灯する。点灯パターンは20種類あり、どれも水が流れるような滑らかな動きを見せる。

 「従来のイルミネーションといえば“LED”を感じさせる光り方が多かったのですが、今回は滑らかな動きで、ほんのり輝かせるように調整しています。決して派手ではないものの、美しく上品な光です」(川居氏)

 点灯部のデザインは彫刻をイメージしており、カラーによって柄が異なる。デザイナーの城ノ下氏が、自ら手書きで起こしたものだ。「背面全体が光ったり、球のように見えたりする無機的なLEDの光ではなくて、感覚的なイメージを目指しました。“当たり前の機能だけど楽しく使える”というのがW61Kのコンセプトですから、イルミネーションの光り方も、楽しくて愛着を持ってもらえるようなものにしました」(城ノ下氏)

 例えば、背面のインフォメーションキーを押すことでサブディスプレイが点灯するが、その際にもイルミネーションがふわっと光り、休んでいるケータイを“起こしてあげた”ような印象を受ける。サブディスプレイが消灯するときにも、一度ふわっと光って消えるのだ。ケータイに愛着を持つきっかけになる演出といえる。

 このカービングイルミネーションは、14個の白色LEDを使い滑らかに動くように工夫されている。光り方のパターンは20種類から選べるが、色や明るさの調整はできない。また、点灯部のデザインはカラーバリエーションごとに異なるのも特徴だ。セレニティーピンクはドットでみずみずしさを表現。グリマーホワイトの細かい四角のパターンは、角砂糖をモチーフにしたという。ブラックは“ちょいワル”なイメージで、カットグラスのようなランダムパターンをデザインしている。

 「ボディカラーによって光り方も違って見えます。特にグリマーホワイトは背面全体が微かに光ります。手前みそですが、縁の模様が見えつつ、背面全体もふわっと光るのを見たときは思わず感激しますね。購入された方にはぜひ見ていただきたいですね」(城ノ下氏)

デザインコンセプトは「ルミナススティック」

 コンパクトボディと感性に訴えるイルミネーションというW61Kの商品コンセプトを受けて、ボディは「ルミナススティック」というコンセプトでデザインされた。カラーバリエーションはセレニティーピンク、グリマーホワイト、バーニッシュブラックの3色。パネルの質感をそれぞれ変え、カラーごとの世界観を表現している。

 内蔵コンテンツには、4つのケータイアレンジがプリインストールされ、ユーザーの好みに合わせて設定できる。高級チョコレートをモチーフにした女性向きのChocolate、ルーレットやポーカーをデザインしたやや男性向きのCasino、水をイメージし、幅広いユーザーに対応するPure Waterなどだ。また、このケータイアレンジは、デザインだけではなくメニューの項目も想定ユーザーに合わせて調整されている。例えば、Chocolateのメインメニューには「ライフ&コミュニティ」というメニューがあり、そこから占いやグルメのサイトにアクセスできるようになっている。Casinoの場合は「ライフ&ニュース」で、乗り替え案内などの実用系サイトにアクセスできる。

 これはauのライフスタイルに合わせたUIメニューを提供するというコンセプトに基づいたもので、音楽端末だったら音楽関連メニューを用意するなど、端末によっても用意されるUIは異なる。どういった内容にするかはメーカーとキャリアで相談し、ターゲットを考慮しながら決めるという。着せ替えの楽しさに機能性が加わった、これまでとは違うアプローチだ。

photophoto セレニティーピンクは化粧品のコンパクトケースなどをイメージしたグラデーション仕上げ。軽やかな印象を受ける。「全体が同じトーンだと個性が強すぎるので、かわいらしく、きれいに感じられるようにグラデーションになっています」(城ノ下氏)。内側はメタル調で、加減によってピンクに見えたりシルバーに見えたりする。また、背面パネルはフロスト加工が施され、指紋が目立たないように工夫した。「指紋を気にされる方が多いので、女性の持つピンクは指紋対策をしています。これによって柔らかい印象にもなっています」(城ノ下氏)

photophoto 微細なグリッドパターンが施されたグリマーホワイト。パールとガラスが入っているので、光を受けるときらきらと上品に輝く。馴染みのある形状で清潔感を表現した。内側は少しゴールドがかったシャンパンシルバー。「トレンドカラーのゴールドを使って、さりげなくおしゃれさを表現しています」(城ノ下氏)

photophoto 男性にも使ってもらえるカラーとしてバーニッシュブラックを用意。「単純な黒だとつまらないですから」(城ノ下氏)。ベースのブラックにブルーを加え、深みのあるブルーブラックを表現した。またスピン加工でメタルっぽい質感に仕上げている

ケータイアレンジを設定した際の待受画面(上段)とメインメニュー(下段)。左からChocolate、Casino、Pure Water。Casinoのメインメニューではポーカーで遊べる。選んだアイコンから出てくるカードと、画面下に配られる4枚の計5枚のカードで役を作れる。待受画面ではルーレットが回り、数字が当たればコインが降ってくる。こちらは自動なので自分では動かせない。ケータイアレンジを解除すると、4行×3列のオーソドックスなメニューとシンプルな待受画面になる
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