Ericssonが推進する、IMSを利用した次世代TVサービスのビジョンMobile World Congress 2008

» 2008年02月20日 14時30分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
photo スピーカーのTANDBERG Televisionの社長兼CEO エリック・クーニー(Eric Cooney)氏

 スペイン・バルセロナで2月14日まで開催された「Mobile World Congress 2008」で、スウェーデンのEricssonは次世代のTVサービスを披露していた。固定と無線の融合、通信とメディアの融合が進む中、TVはもっとパーソナルにインタラクティブになるというのがEricssonのメッセージだ。

 同社はTVソリューションをプッシュするキャンペーン「Televisionary(テレビジョナリー)」専用のデモスペースを設けた。ここでは、Ericssonが「パーソナルTVエクスペリエンス」として描く将来のTV像を垣間見ることができる。

 目玉はIMS(IP Multimedia Subsystem)を利用した「コネクテッドホーム」。Ericsson、ソニー、Sony Ericssonの3社の技術を利用し、IPTV上でのIMS通信、IMSとDigital Living Network Alliance(DLNA)標準の組み合わせとなる2つのデモを披露した。

 IMSベースの通信は、ソニーがテレビやデジタルレコーダー、プレイステーション3などで採用するUI“クロスメディアバー”にIPTVとIMSボディリストを加え、(仮想ユーザーとする)AliceとBobの2つの画面を表示。IMSにより、それぞれのユーザーの画面上でチャットしたり、相手が見ている番組情報が分かる仕組みだ。番組を評価(レーティング)したり、自分が見ている番組を相手に推薦することもできるようになっている。


photophoto Aliceの画面で、Bobが見ている画面情報などを表示したところ(左)、AliceがBobに番組を“推薦”すると、Bobの画面にメッセージが表示された(右)

 DLNAではIMS/DLNAクライアントを搭載した携帯電話で写真を撮影し、これをIMSを利用してホームゲートウェイにアクセスしてテレビに送信するといったことが可能。写真以外にも音楽やビデオクリップなどメディアのダウンロードなども容易に行えるという。また、リモコン代わりに利用することで、外出先から自宅のTVを操作したり、誰が何を視聴しているのかを確認するといったシーンも想定される。

 このほか、モバイルTV分野におけるオンデマンド配信やクロスキャスト(ユニキャストとブロードキャスト)機能なども紹介した。購読した番組がプッシュ配信されるもので、鉄道の待ち時間など好きな時間に視聴できるのが特徴で、ターゲットを絞った広告配信も可能。セルラーネットワーク上で効率よく複数に映像配信できるMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)の実装はすでに始まっており、MBMSをサポートする端末も2008年内に登場予定だという。

photophoto IMSクライアントでホームゲートウェイにアクセス。利用ユーザー(友人など)が何を観ているのか分かる(左)、映像をコンテンツとしてモバイル端末に配信したところ(右)

 Ericssonの考える今後のTVビジョンのキーワードは、パーソナル、インタラクティブ、コミュニケーション、高画質、ユーザー生成コンテンツの5つ。

 これらの土台となるのがIMS(IP Multimedia Subsystem)だ。ユーザーは今後、自分の嗜好にあったコンテンツを端末を問わずに視聴でき、サービスや他ユーザーとやりとりをシームレスにできるようになる。配信プラットフォームはケーブル、地上波はもちろん、モバイルTVやIPTVなどの規格もサポートし、エンコードや著作権管理、編集、メタデータ、広告などのプロセスに対応する。そして、ビジネス面ではサブスクリプションモデルや広告、インタラクティブサービス、商取引などをさまざまな技術で支援し、コンテンツの生成、管理、配信を全体的に支援するポートフォリオを提供できるとしている。

 EricssonはモバイルTVでは約60、IPTVでは約180の契約をすでに獲得しているものの、ビジネスモデルの確立はまだ課題とする段階だ。このため、モバイルTV分野ではノルウェーのNRKとともに、ユーザーのプロファイルに合わせた広告配信などのパイロットテストを行っている。同じコンテンツで異なる広告を配信し、広告にリンクを貼るなどのインタラクティブ性を持たせたところ、70%のユーザーは広告に肯定的だったという。

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