NTTドコモは3月27日、東京大学大学院総合文化研究科の須藤和夫教授、東京大学生産技術研究所の竹内昌治准教授との共同研究で、生体分子を使って情報を伝達する「分子通信」実現の第1歩となる分子配送実験に世界で初めて成功したと発表した。
分子通信は、人体の興奮や感動、ストレス、病気などの情報を分子で伝送できる通信技術で、既存の電磁波を使った通信技術を補完するものに位置づけられる。実用化されれば生化学分析器(バイオチップ)を搭載した携帯電話などが開発できるという。バイオチップ携帯では汗や血液に含まれる生体分子を直接検査し、健康状態の分析やストレス診断を行う、といったことが可能になる。バイオチップで検査した結果を携帯電話で送信することで、高度な健康管理や予防医療、水質検査、相性占いといったさまざまな分野での活用が期待されている。
今回の実験では、化学エネルギー(分子の化学反応によって取り出されるエネルギー)によって動作するモータータンパク質(化学エネルギーを使って自律的に運動するタンパク質。体内で筋肉の力の発生や細胞内の分子輸送などを担う)と、人工的に合成されたDNAとを利用して、特定分子を特定の場所に配送することに成功した。
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