2008年3月28日、イー・モバイルが音声サービスを開始した。これに合わせ、“通常の電話型”の端末として登場したのが「H11T」だ。
H11Tは東芝製のHSDPA通信対応の3G音声端末。HSDPAカテゴリ6に対応し、下り最大3.6Mps、上り最大384kbpsでデータ通信できる。EMnetやEMnetメール(MMS)以外にPCなどに接続してインターネットを利用することも可能で、その場合もパケット料金に違いはない(他社のようにパケット定額プランが「PCでのインターネット利用時は例外」ではない)のが特徴の1つだ。例えば「ケータイプラン」で契約する場合も、基本料金込みのパケット料金が上限の月額4980円で済む(ケータイプラン ベーシックは月額5980円)。
auとドコモのPC接続向けの定額プランは独立した料金プランであり、音声利用はできない。しかしイー・モバイルは音声利用と制限がないインターネット接続を1つの契約で兼ねられる。2008年4月現在はウィルコムがこれに近い料金体系だが、音声定額プランと併用できる「データ定額」(最大128kbps)は、音声端末以外からのインターネット利用時はパケット料金の上限額が引き上げられる例外条件がある。
H11Tはイー・モバイル公式サイト「EMnet」のコンテンツやケータイ向けサイトに加え、PC向けのサイトも閲覧できるフルブラウザを搭載する。メールは、SMS(国内ではイー・モバイル端末間のみ)やEメール(EMnetメール)の利用が可能。そして、USB接続の有線モデム、Bluetooth接続のワイヤレスモデムとしても使用できる。
その点で、H11Tはいわゆる“ごく普通”の音声端末でありながら、データ通信端末としての魅力もある。今回はモバイルPCと携帯をある程度高度に併用するユーザーを対象に、このデータ通信端末としての機能や使い勝手を中心にチェックしていく。
まずは、付属CD-ROMかイー・モバイルのWebサイトからドライバをダウンロードしてPCにインストールしておく。本体をUSB接続する前にドライバソフトをインストールしておく必要があるが、難しい作業ではないだろう。
H11TをPCのUSBモデムとして使用する場合、イー・モバイルの「D02HW」などのデータ通信専用端末とは異なり、原則としてダイヤルアップ接続の設定をユーザーが作成する作業が必要だ。もちろん作成方法はマニュアルに記述があり、かつ認証用のIDやパスワードはデータ通信端末と共通。こちらもそれほど難しいことはない。
なお、Windows 2000、Windows XPユーザーであれば付属CD-ROMからインストールできるユーティリティソフト「Mobile Sync」を使ってもよい。ウィザード形式で接続先やID・パスワードを反映したダイヤルアップ接続設定を作成でき、インターネット接続/切断の管理も行える。ただし、Mobile Syncは他キャリアのデータ通信用ユーティリティにあるような送受信パケット数を記録する機能がないないため、パケット量(パケット通信料金)を気にしながら使う場合は少し不便かもしれない。
H11TをUSBモデムとして利用する場合、公式にドライバが提供されるのはWindows 2000/XP/Vistaのみとなる。ただ、本端末はUSBのCDC(Commnication Data Class)に準拠するので、CDCドライバを標準で備えるMac OS(X、9.1以降)でもUSBモデムとして利用できる可能性が高い。今回、インテルCPU(Core Duo 1.8GHz)搭載のMacBook(Mac OS X 10.4.1)で試したが、問題なく認識し、使用できた(同様に、Linux環境もCDCドライバを準備すれば利用できるようだ)。これらはあくまで公式サポートの範囲外となるものの、USBモデムとして利用できる範囲が広く、USB接続型を含む同社のデータ通信端末より汎用性があるといえそうだ。
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