フィクサー「マイケル、まずいことになった」Mobile&Movie 第303回

» 2008年04月18日 22時00分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名フィクサー(Michael Clayton)
監督トニー・ギルロイ
制作年・製作国2007年アメリカ作品


 今回ご紹介する作品は、アカデミー賞で7部門にノミネートされた話題作『フィクサー』。訴訟大国アメリカの薬害訴訟の企業側の弁護を引き受けた法律事務所で、“もみ消し屋=フィクサー”と呼ばれる男が主人公。彼の携帯電話が鳴ったら、それは厄介な罪をもみ消す合図なのです。

 マイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)は、ニューヨークで最も優秀なスタッフが揃う法律事務所の弁護士。しかし、ここ数年は弁護士として法廷へ立つことはなく、隠された罪を処理するフィクサーとして暗躍していました。そんな自分への苛立ちからか、ギャンブルで借金を重ねる日々。さらに副業として始めたバーの経営もうまく行かず、いっそうギャンブルにのめり込んでいました。

 「マイケル、まずいことになった」

 ギャンブルの最中でも、携帯電話には必ず出るマイケル。“もみ消し”は、いつどんな時に依頼されるかわからないもの。今回は、事務所の顧客がある事故を起こし、それをなかったことにしてほしいとのこと。マイケルは、いつものように淡々と冷静と対応していきます。

 上司マーティ(シドニー・ポラック)には、弁護士に戻りたいと言い続けていたのですが、希望は叶わず、もみ消し屋を続けているマイケル。そんな彼が事務所で最も切れる男として尊敬しているのが、アーサー(トム・ウィルキンソン)でした。

 アーサーは、現在アメリカ最大規模の30億ドルの薬害訴訟を担当していて、不眠不休の毎日。溜まっていた疲れが噴出したのか、原告団との対面中にアーサーが奇行をしたという情報が事務所に入ってきます。その尻拭いのため、アーサーのいるミルウォーキーへマイケルは向かいました。

 アーサーと対面したマイケルは、あきらかに神経が弱っている姿を見て驚きます。アーサーはマイケルに、数年間この薬害裁判に取り組んできて、自分の人生を無駄にしてしまったと語り出します。マイケルはアーサーに正気に戻るよう説得しますが、聞く耳を持たないまま。入院すれば直るとニューヨークに一緒に連れて帰ることに。

 また、マイケルは、訴えられているU・ノース社の法務担当クラウダー(ティルダ・スウィントン)とも面会します。アーサーのふるまいに激しく怒りをぶつけるクラウダーに、マイケルはフィクサーらしく冷静に謝罪し、弁護の継続を誓います。

 しかし、事態を収拾できたと思ったのも束の間、アーサーがマイケルの前から姿を消してしまいます。上司のマーティからはアーサーを入院させるよう命じられており、マイケルは必死になって探します。そして、U・ノース社のクラウダーもアーサーの行方を追うことに。

 薬害訴訟に疲れたアーサーの決断とは? そして裁判の行方は? 巨大な陰謀に巻き込まれていくマイケルもまた、決断を迫られます。

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