5分で分かる先週のモバイル事情4月19日〜4月25日

» 2008年04月28日 09時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

KDDI、ドコモの2008年3月期決算、KDDIは増収増益、ドコモは減収増益

 KDDIとドコモが、2008年3月期の決算を発表した。KDDIは売上高が前期比7.8%増の3兆5962億8400万円、営業利益が前期比16.2%増で4004億5100万円、経常利益も前期比16.6%増の4079億2600万円で、増収増益を達成。ドコモは売上高が前期比763億円減の4兆7118億円、営業利益が前期比348億円増の8083億円、当期純利益は前期比339億円増の4912億円で、減収増益となった。

 KDDIの小野寺正社長は、2007年度の携帯事業について、auケータイの“先進的”なところが薄れ、「auの特徴が失われた」(同)とし、2008年度はauらしさを追求することが必要であり、その中で他社との差別化をはかると説明。また、反省点として「商品に対する管理が少し甘くなった」ことと、「(買い方セレクトなどの)サービス周知の不徹底」を挙げ、新年度での改善を目指す。

 小野寺氏は、3.9Gでの採用を検討している通信方式にも触れ、一部メディアが報じた“LTEの採用”については、「LTEもUMBもOFDMを採用しており、技術的な差異はない。最終的には市場を見ながら決める」とし、「非常識な選定をするつもりはない。決定してはいないが、マーケットを見ればお分かりいただけるのではないか」と含みをもたせた。

 ドコモの中村維夫社長は、「2009年3月期は増収増益目指す」とし、先に発表した“新ドコモ宣言”の実行で、5300万の既存ユーザーの満足度を向上させることを2008年度の事業戦略の中心に据えるという。

 新たな収入源として期待する「定額ビジネス」「生活アシスト」「国際ビジネス」の3分野についても、収入モデルの多様化を目指す考え。具体的には、パケット定額サービスとして提供している「パケ・ホーダイ」の利用拡大、家電と携帯電話を連携させ、外出先から家電などを制御したり、外出先からホームエリア内の機器にアクセスしたりするサービスの提供、DCMXやiDのクレジットサービスの拡大などを挙げている。

ソフトバンクモバイルにカシオ端末?――一部報道で

 共同通信社を始めとする一部メディアが「カシオ計算機が携帯電話端末の供給先をソフトバンクモバイルにも拡大する方向で調整している」と報じた。カシオ計算機は、日立製作所との合弁会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズで端末開発を行っていることから、日立製作所もソフトバンクに端末を供給する可能性があるという。この報道に対し、カシオ計算機広報部は「否定も肯定もしない」、ソフトバンクモバイル広報部は「未発表の案件についてはコメントできない」と回答している。

 カシオ計算機は現在、au向けにCDMA2000方式の端末のみを提供しているが、2008年下半期に国内でW-CDMA方式の端末事業を立ち上げるべく、研究開発を行っている。

より多様性と選択性のある方式へ――総務省、ケータイキャリア4社にフィルタリングサービスの改善要請

 4月25日、総務省がNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコムのケータイキャリア4社と電気通信事業者協会に対し、ケータイ向けフィルタリングサービスの改善に関する検討会(インターネット上の違法、有害情報への対応に関する検討会)の中間取りまとめ案を示し、それを踏まえた対応をするよう要請した。

 携帯電話・PHSのフィルタリングサービスについては、ケータイキャリア各社が今夏の原則義務化を目指して準備を進めているが、現状のモデルではサイトへのアクセス方式が画一的で選択性に乏しいことから、利用者やコンテンツプロバイダらが懸念を示していた

 こうした声を受け、総務省は、利用者が主体的にフィルタリングの方式を選べるようにする仕組みや、青少年の保護に配慮したサイトを認定する仕組みを用意するなどの改善策を取りまとめ案に盛り込み、多様性や選択性のあるモデルへの改善を目指す。

スマートフォンでIP電話――日本通信が発表

 日本通信は4月21日、スマートフォン向けIP電話サービスを2008年度第2四半期(7月−9月期)に開始する計画であると発表した。

 ドコモの3G網を利用した法人向けサービスとして提供する計画で、対応端末はノキア製端末「E61」やWindows Mobile搭載機を予定している。月額料金は未定だが、月額固定の基本料金に、一般回線や国際電話への通話料が上乗せされるプランになる見込みだ。

 日本通信は、ドコモの3G回線網を利用したMVNO事業の計画を進めており、IP電話サービスはレイヤー3接続が実現し次第、開始するとしている。同社はさらに、より上位のレイヤー2接続をドコモに申し込んでおり、これが実現すれば、メールと音声メッセージを統合したユニファイドサービスを、各種無線規格を通じて提供可能になるとした。

 日本通信の三田聖二社長は、今後の同社のビジョンについて「グローバルなMVNOで“世界最大のケータイネットワーク事業者”を目指す」と説明。日本の携帯市場が端末と通信料金の分離プランを導入し始めたことや、ネットワークの開放が進みつつあることから、ネットワーク設備を持たない多種多様な事業者が、携帯電話サービスを提供できる素地が整ったと見る。これをチャンスと捉え、多様なネットワークを(MVNOで)調達し、顧客に最適なネットワークと端末、サービスを提供する“Mobile Enabler”としての事業を推進するという。

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