PantechグループのSKYブランドも、個性的なデザインの携帯電話が多い。SKYはSamsung電子やLG電子の2強とは異なる、独自の高級感がある携帯電話を常に市場に提案している。見ただけでそれと分かるようなユニークなデザインが多く、根強いファンを獲得している。
そんなSKYブランドで最近発表された個性派携帯が、「Blade」(IM-S320:SK Telecom/IM-S320K:KTF)だ。見た目のとおり、画面下に半円形で配置されているメニューキーが特徴で「洗練された、未来志向的な印象を与える」(SKY)という。ほかのデザインがシンプルなだけに、半円配列のキーがより目立つ。
半円形のボタンの内側は、操作をすると青いライトがともり、暗い場所でもキーを視認できる。だが実際に利用してみるとちょっと操作しにくく、慣れるまでに時間がややかかりそうだ。しかし、デザイン重視のユーザーの人気は高い。
ブランドケータイにブラックラベルなど、何かと高級イメージの強いLG電子は、ベーシックな端末も多く出している。最近、韓国の若者層に話題なのが「アイスクリームフォン」(LG-LH5000:LG Telecom)だ。
ボディカラーは、アイスクリームのように甘いイメージのパステルトーン。電話がかかってきたりメッセージが届いたりすると、本体前面のLED照明が動きながら光るほか、前面上部に時刻やハートなどの形をしたオレンジ色のイルミネーションが点灯して大変かわいらしい。
またあみだくじなどのゲーム機能や、メイン料理や簡単料理などの8種類のレシピを照会する機能など、使って楽しい機能が多いのが若者の心に訴える理由のようだ。ちなみにWeb配信されるCMには、テレビ番組にレギュラー出演している韓国の国民的スター犬「サングニ」が登場して、人気に輪をかけている。
デザインで差別化をはかるPantechやLG電子に対し、Samsung電子はやはりあくまで機能重視のようだ。同社では4月初め、HSUPA対応のスマートフォン「SCH-M470」(SK Telecom)を発表した。
OSはWindows Mobile 6.0で、端末上でOfficeファイルの閲覧・編集ができる。Bluetooth v2.0だけでなく無線LANにも対応。画面は2.4インチのタッチパネルで、ダイヤルキーとあわせて入力できる。カメラは200万画素、外部メモリはmicroSDを採用した。
ハードウェアの仕様も気になるが、問題はHSUPAのサービスエリアがどれくらい広がっているかだ。SKTは2008年上半期、ソウルの一部地域で2MbpsのHSUPAの試験サービスを実施した後、全国84都市に拡大する予定。まだ十分にエリアが広がっていないためか、この端末はあまり市場に出回っていない。インフラ整備と歩調を合わせて、徐々に出荷台数を増やすのだろう。
こうしたさまざまな携帯電話を見ていると、韓国携帯市場の流れが見えてくる。HSDPAやRev.A対応というのがベーシックなトレンドになりつつある中、高速通信を生かすための新機能や新サービスを搭載したモデルや、外部の有力ブランドとコラボレートして勝負するもの、付加価値としてデザインに注力したものが多い。
また、高機能携帯を中心にユーザーが好みのUIを決めたり、好きな入力方法を選べるなど、端末操作の自由度が増しているのも特徴だ。メーカーがあらかじめ決めた仕様にユーザーが合わせるのではなく、ユーザーが自分に合った機能やインタフェースを選んで携帯電話を利用できるようになった。今後は、こうした機能が高機能携帯だけでなく、スタンダードモデルやエントリーモデルにも広がっていくと予想できる。
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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