最新日本語入力システム「iWnn」、2008年携帯夏モデルに搭載へ──その賢さを一足先に体験

» 2008年05月15日 22時17分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo 第11回 組み込みシステム技術開発展 オムロン ソフトウェアブース

 携帯における日本語入力環境の進歩がめざましい。予測候補表示機能や文節認識、入力手段の工夫などにより、数年前程度の端末と比べるだけでも入力効率が飛躍的に向上した。いまや、携帯購入時に日本語入力環境の善し悪しを購入ポイントに据えるユーザーも多い。

 ATOKやPOBox、ケータイShoin、モバイルRupo、T9、Mogic Engineなどと並び、国内の携帯に多く採用される組み込み型日本語入力システムにオムロン ソフトウェアの「Wnn」シリーズがある。この最新版「iWnn」が今夏、登場する。

 この最新日本語入力システムは携帯ユーザーにどんな利便性をもたらすか。「第11回 組み込みシステム技術開発展(ESEC)」(東京ビッグサイト・5月16日まで開催)で公開されたデモンストレーションで、一足先にその賢さ、便利さがどう変わったかを体験した。


 iWnnはより優れた予測候補表示機能の実装を軸に、多言語展開・国際化対応、新UIの採用と他モジュールの連携、辞書引き継ぎ機能などを特徴とする。これらintelligent・integrated・international・individual──4つの特徴の頭文字「i」をとってiWnnと名付けられた。

  iWnn Advanced Wnn V2.3 Advanced Wnn V1.4 モバイルWnn V2 モバイルWnn V1 ミニWnn
変換エンジン 280Kバイト 168Kバイト 113Kバイト 103Kバイト 49Kバイト 11Kバイト
基本辞書サイズ 4.4Mバイト 4.2Mバイト 3.359Mバイト 529Kバイト(基本辞書+付属語+辞書インデックス) 510Kバイト(同) 197Kバイト(同)

photo 季節や時間帯、過去/未来の話題、文面の言葉・単語などを判別し、予測候補を優先表示する。予測候補の種類により文字の色を変え、候補を認識しやくする工夫もある(画面はエミュレータ表示によるもの。左から携帯の画面、ダイヤルキー、設定項目を示す。以下同)

 新しくなった予測候補機能で、季節や時間帯、送信相手、過去/未来の話題、喜怒哀楽など“メールを作成する状況”に応じた候補が可変して表示されるようになった。例えば「昨日は〜」に続く文章の予測候補は「楽しかっ“た”」という過去形が優先され、「お」と入力した後の予測候補において、上司宛てであれば丁寧な「お返事/お客様/お願いします」、友人宛てであれば「おつかれ〜/遅いよ」というように優先候補が変化する。

 “送信相手が誰なのか”は、携帯のアドレス帳(の分類フォルダなど)から作成した外部辞書を参照して認識する。現状はアドレス帳の内容よりけりになるようだが、登録した名前が例えば「○○部長」なのか「△△ちゃん」なのかといった文字列の違いでもある程度の判別が可能になるという。

 また、外部データ・モジュールから参照して作成した外部辞書が利用できるようになったことで、変換候補の種類はかなり広範囲に指定できる。例えば、名前から“その人の登録電話番号やメールアドレス”、音楽データベースの参照で“聴いていた楽曲”、プロファイル情報の参照で“現在の感情を示す顔文字・絵文字”などが使用例として想定される。

 季節や時間帯は携帯の内蔵時計を参照して認識し、新規作成時から文字入力なしに予測候補を表示してくれる「いきなり予測」という機能も新たに搭載した。似た機能に、よく使うフレーズを手動で呼び出す定型文/テンプレート機能があるが、状況に応じて自動的であるという部分が異なる。自分が入力したかった文章と一致していた場合は、より“一歩進んだ賢さ”が感じられることだろう。

 そのほか、冒頭の文字のみを入力し、後は読み長(文字数)分を右キー入力することで該当する予測候補を示す新たなUIを採用した。例えば「で→→→→」(“で”の後に右キーを4回押す 画面表示は「で****」)と入力すると「で」から始まる“5文字以上”の単語候補を絞り込んで表示してくれる。いわゆるインクリメンタルサーチの1種だが、多数ある候補を絞り込むまでの文字入力を右キー操作のみに簡略化できるのが予想以上に楽だった。

photophoto “メールの送信先が誰か”により、予測候補も変化する。例えば友人なら柔らかく、上司なら“かしこまった”候補が表示される
photophoto “今、何時か”によっても表示候補が変化。「いきなり予測」機能で、これら入力状況に応じた文頭候補がキー入力なしにいきなり予測して表示される。“今帰る”メールなど、ある程度周期性がある定型文章のメールをやりとりする機会が多いユーザーであれば、iWnnが「この時間帯でこの人宛なので、この内容のメールでいいですよね?」というように文章を自動的に用意してくれる(ことも可能)というわけだ
photo 特殊な読み・漢字のアドレス帳データを外部データとして参照したデモ。珍しい漢字の“あさの”さんの漢字は一発で候補に挙がり、かつ電話番号などのアドレス帳の内容も変換候補になっている。地域・位置情報や天気情報など、キャリア側サービスのデータもうまく連携・応用できるなら、より便利になる可能性があるといえよう
photophoto 「キーを押す回数がかなり減るかも」と思えたiWnnのインクリメンタルサーチ機能。季節や時刻の認識機能も併用すると絞り込みの精度がさらに高まる

photo AndroidプラットフォームのQWERTYキーボード搭載端末での動作を想定したデモ。LinuxやSymbianなどを含めたマルチプラットフォームに対応し、辞書の切り替え(と実装)だけで多言語の予測入力も可能にする。言語ごとのUI開発や実装作業が必要なく、海外メーカーによる日本市場向け端末の開発を容易に、かつ国内メーカーの海外市場向け端末の価値向上を図れるメリットがある

 iWnnは以前の端末の辞書をそのまま引き継いだり、過去の入力履歴からiWnn搭載の新機種用ユーザー辞書を自動生成する機能を備えるのもポイントの1つ。辞書データの引き継ぎは一部機種のみに対応するが、旧機種からデータを移行した際に過去メールの文字列を解析する方法であれば、どんな機種でもほぼ大丈夫なようだ。

 さて、このiWnnは2008年夏モデルの一部機種に早速搭載される予定。果たしてどのメーカーのどの機種に採用されるか、実際に携帯で操作してみてどう変わるのか。夏の新機種登場まで楽しみに待つことにしたい。

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