日本で“スマートフォン”というと、「Windows Mobile」や「Symbian」といった汎用OSとQWERTYキーボードを搭載する携帯電話を指すことが多い(もちろん、ノキアなどのQWERTYキーを搭載しない汎用OSスマートフォンも多い)。2005年末に登場したウィルコム(とシャープ)の「W-ZERO3」によって、QWERTYキーを搭載するスマートフォンのユーザー層は一気に拡大したが、その後、製品を積極的に投入してきたのがソフトバンクモバイルだ。スライドタイプの「X01HT」と「X01T」、ストレートタイプの「X02HT」に続いて、2008年春モデルでは、スライドタイプのボディにQWERTYキーボードとダイヤルキーを搭載する「X03HT」が登場した。
女性ユーザーも満足させたい――最新Windowsケータイ「X03HT」への期待度
HTC製の「X03HT」は、コンパクトでカラフルなボディにQWERTYキーボードを備えたWindowsケータイ。女性ユーザーにもスマートフォンを使ってもらうべく、さまざまな工夫が盛り込まれているという
QWERTYキー&テンキーで“フツー”に使える小型Windowsケータイ――「X03HT」
ソフトバンクモバイルのHTC製端末「X03HT」は、QWERTYキーボードに加えテンキーも備えたWindows Mobile搭載機。コンパクトなボディのこのスマートフォンは、ある時はケータイ、ある時はスマートフォンとしてさまざまなシーンで利用できる。
ソフトバンクモバイルの「X03HT」は、OSにWM6 Standardを搭載するHTC製のスマートフォン。スライド式のQWERTYキーボードに加え、携帯電話のようなダイヤルキーをコンパクトなボディに備えた。
X03HTはシステムメモリ(RAM)がX01HTやX02HTの2倍に相当するを128Mバイトあり、プロセッサの動作クロックは同じ400MHzなのに、X02HTと比べてX03HTで動くアプリケーションの動作は機敏だ。それを特に感じるのは、Windows Mobile標準のInternet Explorer Mobileでスクロール操作を行ったとき。X02HTのそれが「パタ、パタ、パタ」とあまりにも遅く、[8]キーでPageDownしてしまっていたのが、X03HTでは、“あの”Internet Explorer Mobileでも「スルスルスルッ」と画面をスクロールできる。X02HTユーザーには、このあたりの改善がX03HTへの乗り換えの大きな動機となるかもしれない。
メモリ容量と内蔵するストレージ領域の増加とともにX03HTの特徴となるのが、ダイヤルキーを中心とした入力環境とQWERTYキーを中心とした入力環境を、「通常の携帯電話と同じサイズ」のボディに搭載したことだ。同様のデバイスとしてはすでにウィルコムの「Advanced/W-ZERO3 [es]」が存在するが、通常の携帯電話と比べて縦の長さがやや長く、ポケットへの収納が(不可能ではないが)難しかった。それに対して、X03HTは、幅と高さがコンパクトなので、手に持ったときの感覚やポケットやバッグにしまうときの取り回しに関しては、イマドキの携帯電話と同じように扱える。
このように、X03HTで注目されるダイヤルキーとQWERTYキーだが、コマンド操作や文章入力における使い勝手はそれぞれどうなのだろうか。ほかのスライドタイプのQWERTYキーボード搭載デバイスと比べてX03HTのキーピッチは狭くなっているが、親指タイピングでキーの狙いを定めるのにはさほど苦労しない。両手でボディを横向きにホールドすれば、手の位置を動かすことなく、両手親指の行動圏内にすべてのキーを無理なく収めることができる。ただ、片手入力については、普通の動かし方で反対側の縦4列分、やや無理をした動きでも反対側の縦2列分が親指の行動圏外となるため、実質的にタイプはできなかった。
3段12列に配置されたキーボードのレイアウトは、4段10列を採用するX01HTやX02HTとはやや異なる。特に顕著なのが最下段で、4段10列レイアウトでは、最下段にスペースキーと各種機能キーが配置されていたが、X03HTでは、アルファベットの[B]キーと[N]キーの間にスペースキーが割り込み、機能キーのいくつかはアルファベットキーと[Fn]キーのコンビネーションで使うようになっている。数字の[0]キーが電話のテンキー配列とは異なる[1]キーの左脇にあるなど、変則な並びもいろいろと発生している。
変則並びは、慣れと時間が解決してくれるが、文章入力で困ったのが「,」「.」がともに[Fn]キーとの組み合わせで入力する仕様であることと、Excelファイルの編集で使う頻度が高い[=]キーがなくなって[記号]キーから選択する扱いとなったことだ。X03HTの評価作業中に長文の原稿も作成してみたが、X01HTやX02HTと比べて固いキータッチに“やや”疲れるとともに、句読点の入力で文集作成の流れが止められることに少なからずストレスを感じてしまった。
文章入力の際の、かな漢字変換のタイミングのくせが影響するかもしれないが、筆者は、句点、または読点まで入力してから変換をかけるため、句点や読点キーで[Fn]キーとの同時入力を求められると、自分が話している最中に声のでかい人に割り込まれて腰を折られてしまったような、そういう、なんとなく落ち着かない気持ちになってしまったのは否めない。
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