らくらくホン+健康──ドコモ、シニア市場のさらなるシェア獲得に意欲

» 2008年07月17日 23時46分 公開
[ITmedia]

発表会の様子とらくらくホンVの新機能

 累計1316万台──。ドコモの90xiシリーズと並ぶ主力機種といえるほど売れる携帯が「らくらくホンシリーズ」である。らくらくホンシリーズは、2005年4月に累計500万台、2006年4月に733万台、2007年4月に1000万台を販売し、2008年6月末現在の1316万台に至る。年に約300万台のペースで伸びていることからも分かるように、シニア携帯の市場はかなり大きい。

 ユーザーの増加に応じて増してくるニーズの多様化。らくらくホンシリーズはこの多様化に対応すべく、2007年3月に基本機能の使いやすさに特化したベーシックモデル「らくらくホン ベーシック」、2008年3月にワンセグや国際ローミングといった最新機能やサービスも搭載するハイスペック志向の「らくらくホン プレミアム」を追加し、らくらくホンシリーズの中でもハイスペック/スタンダード(らくらくホンIVなど)/ベーシック/シンプル(らくらくホン シンプル)と分類できるようラインアップを拡充した。

 今回発表した「らくらくホンV(ファイブ)」は中でももっとも売れる“スタンダード”に属する主力機種として、らくらくホンIVの後継機種として展開。らくらくホンシリーズの特徴である“しんせつ、かんたん、見やすい、あんしん、おまかせ”のテーマとともに、メタボリックシンドロームの早期発見を目的とした「特定健康診断」「特定保健指導」など、健康に対する世間の意識が高まっていることを背景に、新たに「健康管理」がテーマの機能も多く取り入れた。より正確に測定できるようになった歩数計機能、サブカメラで行う脈拍計測、タニタの体重計/血圧計と連携できる機能、専用の健康管理アプリ「健康生活日記」などを備える。

photophoto 「らくらくホンVは、基本機能の向上とともに“健康管理機能”の機能を取り入れた自信作」NTTドコモ 執行役員プロダクト部長の永田清人氏
photophoto らくらくホンシリーズ販売数の推移(左)と現在のラインアップ

 従来のらくらくホンシリーズにも備えていた歩数計機能は2軸から3軸センサーに強化し、どのような姿勢でもより正確に歩数をカウントできるよう改善した。脈拍はサブカメラで指先の血管の様子をスキャンし、その画像を解析して計測する仕組み。専用アプリ 健康生活日記で、歩数や脈拍、外部機器で測定した結果をグラフ化して健康状態を管理できる。

 「健康管理機能については、エンドユーザーへの価値提供はもちろんですがプラットフォームそのものの価値をアピールしていく考えもあります。今回はタニタさんの機器やサイトとの連携機能を備えましたが、将来的には健康機器関連以外にもいろいろな機器との連携して利用できるようにしていきたいと思っています」(永田氏)

 このほか、携帯としての基本機能もさらに工夫が進んだ。ボタンひと押しで端末が開く「オープンアシスト」、らくらくホン プレミアムに備えた「音声入力メール」、周囲の騒音状況に応じて音域ごとに音量を自動調整し、聞き取りやすくする「スーパーはっきりボイス2」、騒がしい環境でも自分の声をはっきりと相手に伝えられる「スーパーダブルマイク」を搭載。日本点字図書館提供の録音図書コンテンツ、外光下でも見やすい2.8インチの半透過型液晶、本体を傾けると自動的に背面液晶のバックライトが点灯する「おまかせバックライト」、さらに大きく見やすくなる「受信メールの40ドット文字表示」、撮影で暗くなった部分だけを自動的に画像補正する「おまかせ逆光補正付きカメラ撮影」などの機能も盛り込む。

photophoto らくらくホンシリーズのテーマ「しんせつ、かんたん、見やすい、あんしん」に関する機能をより刷新し、“おまかせ”で使いやすくなるという(左)。ワンプッシュで端末をスマートに開けられる「オープンアシスト」を採用。パナソニック モバイルから技術提供を受け、開く速度や感触をらくらくホンシリーズ向けにチューニングしたものだという
photophoto 騒音環境下でも相手の声が聞き取りやすい「スーパーはっきりボイス2」。一律だった従来機の機能から、音域ごとに細かく音量を調整することで、より自然な聞こえ方になるという(左)。騒音環境下でも相手へ自分の声をはっきり伝えられる「スーパーダブルマイク」は従来機の機能と比べ、雑音を取り除く機能が向上した。指向性と無指向性、2つのマイクで自分の声と周囲の雑音を識別して、雑音をカットする仕組み(右)

 らくらくホンVに備える機能の多くはユーザーが意識せずとも“おまかせ”で有効になること、そしてキーの配置やデザインに大きな変更がないこともポイント。「らくらくホンシリーズを望むユーザーさんの多くは、(前機種の)使いやすさの持続性も重要」と永田氏は述べる。

 「マニュアルレスで使え、ユーザーが心地よいと思う使い勝手を提供する──という意味で、iPhoneと比べても技術としては同じかそれ以上のことをしていると思う」と永田氏。9月の敬老の日需要などを見込み、携帯ははじめて/とにかく使いやすいものを望む新規シニアユーザー層とともに、現らくらくホンユーザーの買い換え組や“親に購入してあげる層”も含めて、口頭でも説明しやすいらくらくホンシリーズの進化した使いやすさをより訴求していきたい考えだ。

photophoto 専用の健康管理アプリ「健康生活日記」をプリセット。歩数や脈拍数、連携機器で測定した体重などの数値をグラフ化して管理できる(左)。脈拍はサブカメラを使って測定する(右)
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photophoto 赤外線ポートを搭載するタニタ製の体組織計「BC-501」や血圧計「BP-300」と連携できる。計測した数値を赤外線経由でらくらくホンVで受信し、「健康生活日記」アプリで管理できる。このほか、タニタの会員制健康支援サイト「TANITAカラダカルテ」(体組織計「BC-501」や歩数計、リレーキーなどの機器込みで月額1200円から。24カ月後に機器が自分のものになる)とも連携可能で、歩数や体重などの測定値をらくらくホンVからアップロードして管理することもできる

らくらくホン酷似係争、進展コメントはなし

 ドコモと富士通は2008年3月、ソフトバンクモバイルと東芝に対し、らくらくホンと酷似していると「かんたん携帯 821T」の製造・販売などの差し止めを求める仮処分命令の申し立てを行った。

 この件の進展を問われた永田氏は「まだ係争中なので、返答は控えたい」と言及を避けた。2008年7月現在、かんたん携帯 821Tはソフトバンクオンラインショップや携帯ショップ全般で普通に販売されている。


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