BlackBerry 8707hを見た瞬間、目ひくのはコンパクトなQWERTYキーだろう。いわゆる“両手親指打ち”で、PCライクな文字入力を実現するデバイスだ。スマートフォンへの採用例も多く、モバイルメール端末向けのキーとして人気が高い。
しかし、8707hで一番使うことになるのは、実は端末の右側面にある「トラックホイール」だ。回転させると項目選択や上下移動、押し込むと決定キーとして機能し、トラックホイールの下にあるボタンでキャンセルや1つ前の階層に戻る操作を行える。
同様の機能は、かつてソニー製のストレート端末に搭載されていたが、折りたたみ端末が主流になってからというもの、ほとんど見かけなくなってしまった。
ソフトウェアもトラックホイールを徹底活用するつくりだ。メニューなどで一部の例外はあるものの、文字入力以外はとにかくトラックホイールで全部済ませられる操作体系が構築されている。トラックホイールを押し込むと、すぐフォーカスの位置に応じた決定動作になるのではなく、サブメニューが開いて、決定以外の動作を選択できるのだ。サブメニュー内のカーソルは初期位置が決定動作になっており、もう1度そのままトラックホイールを押し込めば決定動作になり、トラックホイールを長押しすれば決定動作になる。
この動作が煩わしいのではないかと思う人もいるかもしれないが、慣れると片手での操作は非常に快適になる。どんな場所でもトラックホイールを押して動作を選べるからだ。メールなら返信も削除も前後のメールへの移動も、全部トラックホイールでサブメニューを呼び出して動作を選べる。
8707hのQWERTYキーボードは、キーの数が必要最低限にとどまっている。記号や数字は[ALT]キーを併用する仕様で配列も独自だが、メールの文章を入力する程度なら気にならない。[ALT]キーは単独で押すと次の1キーのみ有効になり、片手でも記号などの入力で不便に感じることはない。このあたりはWindows Mobile機でも同様だが、片手で操作することに配慮している点は評価したい。
日本語入力システムはオムロンソフトウェアのAdvanced Wnnを採用しており、フレーズ予測変換に対応したローマ字入力が可能で、入力効率は悪くない。筆者の場合は一般的な携帯電話のトグル式かな入力より、8707hのQWERTYキーボードの方がすばやく文字を入力できた。
英字、ひらがな、カタカナといった文字入力モードは、発話キーと終話キーの間にあるキーでトグル式に切り替えられる。もっとも予測候補にキー操作に準じた英字や数字も含まれるので、多くの場合、わざわざ文字入力モードを切り替えずにすむ。また、英字入力モードは長押しで大文字、小文字が切り替わるBlackBerry独特ともいえる入力操作になっていた。
操作体系にクセはあるものの、片手でほとんどの操作が行えるのは、かなり快適だ。一覧でのフォーカス移動をすばやく行え、メールのスクロールもけっこう速い。筆者がかつてジョグ搭載のソニー端末が好きだったのは、まさに“この感覚”があったからだ。海外でBlackBerryの評価が高いのは、きっとこんなところにも理由があるのだと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.