「AQUOSケータイ 923SH」に搭載された辞書機能のポイントは、ウィキペディアなどのオンライン辞書に対応したことだろう。夏モデルの発表会では、プレゼンテーションを行った孫正義社長が「ウィキペディアは私の発案。電子辞書はすぐに情報が古くなってしまうが、(ウィキペディアなら)常に新しいデータから検索できる」と自画自賛していた。孫氏は「特許を取得できるに値する」とも言っていたように記憶している。
実際、孫氏がウィキペディアへの対応をメーカーに提案したのかもしれないが、実は発表会の1週間前、すでにこの機能を搭載した「WILLCOM 03」をウィルコムが発表していた。
さらに、オンラインの辞書をローカルアプリで利用するというアイデアは、少なからず、かなり前から存在していたように思う。発表会の時に「その機能はすでにありますよ……孫社長」と、心の中でそっと呟いたのは筆者だけではないだろう。
真相のほどは分からないが、すでにSH906iやW62SHにも採用されていることから分かるとおり、今後オンライン辞書を搭載したモデルが増えそうなのはなかなかうれしいことだ。
なおWILLCOM 03の辞書機能は“串刺し検索”に対応しており、これは923SHには搭載されていない。次の機種で対応してほしいところだ。
923SHの辞書機能は、待受時にダイヤルキーの左下にある辞書キーを押すと起動する。プリインストールの辞書は、明鏡モバイル国語辞典、ジーニアスモバイル英和・和英辞典の3種。インクリメンタルサーチにも対応するなど、使い勝手はなかなか良好だ。なお、別途専用の辞書を購入して追加することもできる。
さらに通信エリア内なら、オンライン辞書を利用できるのも便利な点で、出荷時には「ウィキペディア」「ジーニアス英和辞典MX.net」「ジーニアス和英辞典MX.net」「明鏡国語辞典MX.net」「Hot Pepper Pockets」の5つの辞典で検索できる。メニューの辞書リストで更新すると、「イミダス百科」「日本大百科全書」「プログレッシグ英和中辞典」「プログレッシグ和英中辞典」「デジタル大辞泉」が追加された。ただし、これらの追加辞書は、2008年9月19日まで無料で利用できるが、それ以降は有料化されるようだ。
オンライン辞書のデメリットは(1)電波が入らないと使えない (2)検索するのに多少時間がかかる という点だ。ただ、何らかの作業をしながら辞典で検索する――というケースが多いことを考えると、うまく使えばそれほど検索時間は気にならないかもしれない。
これだけ多くの辞典が使えるのなら、“一気にすべてのデータを検索したい”と思うのだが、それが叶わないのが惜しいところ。このあたりは、一度、通常の辞書で検索したものを、メニューからオンライン辞書を呼び出して再度検索するといった使い方で対応できる。
923SHの辞書機能は、検索履歴やしおり、メールやWebとの連携もできるなど、専用の電子辞書とは異なる新たなユーザビリティを提供できていると思う。新たな辞書のあり方をかいま見せるという意味でも、注目の機能といえるだろう。
筆者は、“ダイヤルキーによる文字入力が面倒”と思ったりもするが、ソフトバンクモバイル+シャープの端末には「インターネットマシン 922SH」のようなQWERTYキーボード搭載モデルもあり、こちらも新モデルでのネット辞書対応に期待したい。
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