日本のキャリアも“よりグローバルな製品”へ向かう──日本エリクソン フレドリック・アラタロ氏神尾寿のMobile+Views(1/2 ページ)

» 2008年09月03日 07時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 北欧スウェーデンに本社を構え、移動体通信機器メーカーとしては世界最大規模を誇るEricsson。その日本法人である日本エリクソンが9月1日付けで大規模な組織改編を行った。同社は日本市場の顧客ニーズに即応し、ビジネス基盤を強化すべく新体制で臨む。

 NTTドコモの「スーパー3G(LTE)」を筆頭に、次世代インフラ時代へのシフトが見え始めた日本において、日本エリクソンはどのような役割を果たそうとしているのか。日本エリクソン 代表取締役社長のフレドリック・アラタロ氏に話を聞いた。

PhotoPhoto 日本エリクソン サービス本部本部長のキーラン・ウォルシュ氏(左)と日本エリクソン 代表取締役社長のフレドリック・アラタロ氏(右)

組織変更で、日本のキャリアとの距離を縮める

ITmedia(聞き手:神尾寿) 今回、日本エリクソンが大規模な組織変更をした狙いは何でしょうか。

フレドリック・アラタロ氏(以下アラタロ氏) 現在、携帯電話市場ではインフラ分野だけでなく、サービス分野の開発投資が大きく伸びています。今回日本法人を、サービス関連グループを強化する形で組織変更したのも、このサービス分野におけるキャリア(オペレーター)のニーズにすばやく応えるためです。

 具体的には、我々の(サービス関連の)組織を、マネージドサービス(機器の設置、設定、保守、管理)、ネットワークロールアウト(導入・立ち上げ)、コンサルティング&システムインテグレーション、カスタマーサポートの4分野からなる1つの組織に集約しました。これまでサービス関連の部署は複数に分散していたのですが、これが1カ所にまとまることで、キャリアとのコミュニケーションやサポートの質が上がり、よりよいビジネス関係が築けるものと考えています。

ITmedia 日本エリクソンのビジネスとしても、サービス関連部門の競争力強化を考えている、ということですか。

アラタロ氏 ええ。(今回の組織変更は)第一義にはキャリアの支援を強化するという目的がありますが、我々のビジネス自体も拡大していくことになると思います。特に日本市場では、キャリア同士の競争が激しくなっているだけでなく、総務省も(モバイル市場の)競争をさらに活発化する方針を打ち出しています。こうしたビジネス環境の変化の中で、キャリアのビジネスはより効率性が要求されることになるでしょう。日本エリクソンでは、この(投資の)効率性において、キャリアの要求に十分に応えられるだけの能力と体制を築いていきます。

ITmedia キャリアの間で、次なるインフラ投資や(キャリアの)サービス開発投資が重要な競争課題になり、通信機器メーカーの競争も激しくなっています。他社に比べて、日本エリクソンの優位性として考えられるポイントはどのようなところでしょうか。

アラタロ氏 私ども日本エリクソンならではの特徴としては、日本だけで800人以上のエンジニアがいることが挙げられます。ここまでの体制を整えているメーカーはあまりないと思います。さらにEricssonはグローバル企業ですので、グローバルでの経験やプロセス、ツールなどを活用していくことができます。

ITmedia 一方、グローバルで見ても、次世代インフラ時代を見越してライバルメーカーとの競争は激しくなります。エリクソンはそこでも優位性を保てますか?

アラタロ氏 そうですね。(グローバルでの)ライバルメーカーとの競争環境は今後も変化していくと考えられますが、その中でエリクソンの優位性を挙げるとすれば、「ボリュームにおいて有利である」ということになると思います。(ワールドワイドで)多数の顧客を持つことが、製品における効率性や顧客のニーズに応えられるという点に集約されます。

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