SMSが主流の国もある海外と比較すると、日本のケータイメールは先進的といえる。インターネットの普及に合わせて早い時期からEメールに準じたメールサービスを導入し、いわゆる「写メール」ブームが添付ファイル対応を加速させた。
また、今では一般的な音声端末でもWebメールやメールアプリを介してISPメールなどのPCメールを送受信できるようになった。こうした日本のケータイメール環境を考えると、単にPCメールを送受信したいだけなら、「8707h」を使う必要はないかもしれないとも思う。
では、8707hでメールを利用するメリットは何なのか。1つはセキュアな環境下でメールを利用できる点だろう。企業内のメールサーバとBlackBerryのメールサーバをVPNなどで接続することで得られる高いセキュリティは大きなメリットといえる。しかし、個人やSOHOの利用においては、そこまでのセキュリティを求められることは少なく、コスト面でも見合わない。
個人利用のメリットといえるのは、メールを効率的に閲覧/管理できる点だ。8707hを使っていると、大量のメールを実に効率よく閲覧し、管理できることが分かる。端末の側面にあるトラックホイールのおかげで、一覧から素早く目的のメールを探し出したり、メールの本文全体に目を通せるのがとても便利。また、複数アカウントのメールも一括で一覧できるので、曖昧な記憶からでもメールを探しやすい。
検索機能もよく考えられている。強力な検索機能も便利なのだが、トラックホイールの操作だけで手軽に検索できるのが、利便性の向上に大きく貢献している。例えば特定のメールアドレスからのメールを一覧したい場合、まずそのメールアドレスから受信したメールを1通見つけてフォーカスを合わせ、トラックホイールを押して「この送信者で検索」を選ぶだけでいい。つまり片手でのトラックホイール操作だけでこの操作が行える。
8707hのメール機能には自動振り分けはもちろん、そもそもメール一覧にフォルダという概念もないわけだが、こうした機能がなくても快適に使えるよう設計されている。
8707hは、会社やISPのメールを受信するために使うケースが多く、こうした利用では受信メールも大量になる。しかし、本来PCで受信するメールを8707hで受信するので、一定期間が過ぎたメールを溜め込んでおく必要はあまりないだろう。
8707hは「ある日以前」という条件でメールをばっさり削除する機能を備えており、この操作もトラックホイール操作だけで行える。一覧画面を切り替えることで、メールアカウントごとでも、全てでも、メールアカウントに対してでも適用できるので、“プライベートな連絡用のメールアカウントのメールは長期間保存する”といった使い方も可能だ。保存しておきたい重要なメールについては、別途「保管」することもできる。
8707hのメール機能をスペックだけで見てしまうと、一般的なケータイに比べて見劣りするのは事実だ。フォルダや自動振り分け機能もなく、外部メモリも利用できないから、大量のメールを端末内に保存するのも難しい。しかし、これといった事前の設定なしに“大量の受信メールを的確に捌く”機能に優れており、それを簡単操作で行える。この点は、どのケータイもWindows Mobile端末もかなわないのではないだろうか。もちろんiPhoneでさえもだ。
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