アニメ制作会社がスマートフォンを導入した理由MCPCモバイルソリューションフェア 2008

» 2008年09月16日 02時00分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo シンク テクニカルディレクターの高木裕吉氏

 スマートフォンでアニメをプロデュース――。9月5日に行われた「MCPCモバイルソリューションフェア 2008」では、中小企業向けのモバイル導入事例としてシンクの取り組みが紹介された。

 シンクは、アニメーションのプロデュースやWebサイトのコンサルティングサービスを手がけるコンテンツ企業だ。数多くの人間とパートナー企業がかかわるアニメーション制作では、進行管理が極めて重要。また同社は、コンテンツファンド「動画革命東京」の運営なども行っており、出資者への説明責任を果たす上でもより厳密な進行管理とコスト管理が求められるという。

 「アニメのプロデュースには時間と金がかかる。通常のアニメ制作には半年から数年かかり、1つの企画を育てて利益を生むためにファンドを組むともっと長くかかる」と話すのが、同社テクニカルディレクターの高木裕吉氏だ。

photophoto シンクがスマートフォン導入のメリットと感じたのは、外出先でもOutlookを使えることが大きかった(写真=左)。システムは一般的なもので、すでにExchangeを採用していたため、大きな設備投資は不要だった(写真=右)

 高木氏は社内の管理部門に属しているが、技術関連のマーケティングやWebコンテンツの制作も兼任。現場の1ユーザーとして業務をこなす一方、会社の効率化やコスト削減にも気を配る立場といえる。その高木氏が痛感したのが、社内コミュニケーションの難しさだという。

 「とにかく、社員の外出が多い。アニメ制作は複数のパートナーやクライアントと長期間のプロジェクトを組むことが多く、プロデューサーは外出しての打ち合わせ、スタッフは提携先企業で作業というケースが多い。そこで、クライアントと会社、外出している社員との連絡をスムーズにしたかった」(高木氏)

 そこで高木氏は、ケータイからメールとスケジュールの共有が可能で、新規の業務アプリ開発も容易なWindows Mobile搭載スマートフォンを全社で導入することを提案。すでにシンクでは、メールシステムにExchange/Outlookを採用しており、Windowsケータイであればそのまま利用できた。

photophoto ただし、標準では使いにくい面もあるので導入後のチューニングが必要だった

 「Windows Mobile端末の導入で決め手となったのは、Outlookが使える点だった。社外からでもメールとスケジュールを見ることができるため、メールアドレスなど情報の2重管理がいらないのが便利。ただ、標準では使いにくい面もあるので導入後のチューニングが必要だと思う」(高木氏)

 社内で利用しているメールとスケジュールにアクセスできるWindowsケータイだが、音声端末と同じような使い勝手とはいえない面もある。また、PCと同じ情報量を表示させると、ケータイでは見にくいこともあった。

 「(Outlookの)連絡先は分かりにくさがある。各部門が連絡先を登録していくと、数が増えて探しにくい。そこで我々は、全社で利用するパブリックフォルダと、部門ごとに連絡先を登録するフォルダを分けた。アクセス権限も部門ごとに設定したので、他部門の端末からはアクセスできない。そのままでは使いにくい面もあるが、Windows Mobileはカスタマイズすることで、自分の会社に合ったケータイに育てることができる」(高木氏)

 シンクでは、メールとスケジュール以外でもWindows Mobileのマルチメディア機能を使った簡易的なプレゼンテーションをスマートフォンで行っている。正式なプレゼンではないが、制作中の動画を確認したり、演出方法を打ち合わせる際など、片手で使えるメディアプレーヤーとして活躍しているという。

photophoto スマートフォンはマルチメディアプレイヤーとして使うことができるのが特徴。シンクでは「今、こんなものを作っている」といった簡易的なプレゼンテーションに活用しているという

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