8月初旬に手にしてから約1カ月――。ついに「F906i」とお別れする日が来てしまった。ここまで“思い通りに”カスタマイズできる端末を使ったのは久々で、名残惜しさもひとしおだ。
F906iを使ってみて便利だと実感したのは(1)使う人のニーズに合わせて最適化できる、カスタマイズの柔軟性 (2)メニューをたどることなく、さまざまな機能にアクセスできる機動性 だ。
例えば(1)については、スケジュール表示や待受カスタマイズ、待受ショートカット、セキュリティなどをかなり細かく設定できる点が挙げられるだろう。また、仕事に役立つ機能だけでなく、フォントをダウンロードして変更したり、端末を開閉するたびに異なる待受画面を表示したりといった、エンタメ系のカスタマイズも充実している。
(2)については、ロードテストの第1回で書いたように、とにかく待受画面から任意の機能にアクセスするための手段が多彩な点が挙げられるだろう。
いずれも最初にいろいろ設定しなければならないのが面倒だが、一回設定してしまえば、設定の面倒を補ってあまりある便利な世界が待っている。一度、“自分仕様”の快適さを味わってしまうと、他の端末の“メニューをたどって……”という操作が何とも面倒に感じてしまう。
あと、個人的にとても便利だったのがスケジュール機能だ。せっかくディスプレイが高解像度化したにもかかわらず、この機能に手を入れるメーカーは少ない。そんな中、Fのスケジュール機能は視認性に優れ、使い勝手もいい。“使う人の身になって作られた”ことを実感できるもので、設計者のセンスに脱帽だ。
一方で、こんな機能があったら……と思う点もある。1つはBluetoothの搭載だ。音楽を聴きながらおサイフケータイで改札を通過すると、どうにもケーブルが邪魔で仕方がない。タッチパネルケータイ「F900iT」に搭載した実績もあるので、次のモデルでの搭載に期待したいところだ。
もう1つはフルキーボードの搭載だ。待受画面からさまざまな機能にアクセスできるというPCライクな操作性と柔軟なカスタマイズ性を備えた富士通端末にフルキーボードが合体すれば、ソフトバンクモバイルの「インターネットマシン 922SH」に迫るすごい端末が生まれるのではないかと思うのだ。各社が2台持ち需要の喚起を目指す中、この組み合わせはけっこうすごい武器になるのではないだろうか。
ケータイキャリアが販売方式を刷新したことから、“1台の端末を長く使う”傾向にシフトしつつある昨今、携帯には“飽きずに長く、便利に使える”ことが求められている。
そんな中、F906iは外観こそ変えられないものの、機能の設定はかなりいじり甲斐があり、思い通りの仕様にもできるなど、的を射た進化を遂げているように感じる。
とりあえず、“ものぐさ”かつ、“ケータイぐらいは意のままになってほしい”という私のニーズに、かなりぴったり来るケータイだったことは事実。さて、明日から“思い通りにいかない”もどかしさをどこにぶつけようか。
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