第4回 では、“日本版OMNIA”はどうなる?現地版「OMNIA」レビュー(1/2 ページ)

» 2008年09月25日 18時47分 公開
[山根康宏,ITmedia]

photo 3.2インチタッチパネルディスプレイを備える「OMNIA」

 Samsung電子の「OMNIA」は、OSにWindows Mobileを採用するスマートフォンであり、海外ではSamsung電子のフラッグシップモデルとして販売されている。2008年7月に開催されたワイヤレスジャパン 2008でも、端末メーカーとして最大級のブースを構えた同社の目玉製品がこのOMNIAであった。関係者によると、日本市場でもOMNIAないし相応の端末(以下、今回は“日本版OMNIA”とする)を日本語化した端末を年内に発売する予定としている。

 もちろん2008年9月現在、海外版OMNIAをそのまま日本語化するだけなのか、それとも日本市場向けに独自機能やデザインを付加したカスタマイズモデルとするのかは公表されていない。なんらかの端末を発売すると仮定し、どのようなパターンがあるかを考察してみよう。

 最近、携帯キャリアやメーカーからスマートフォン新機種の発表が相次いでいる。中でもHTC(High Tech Computer)は、NTTドコモKDDIソフトバンクモバイルイー・モバイル、国内の携帯4社すべてに端末供給を行うことになり、日本市場におけるプレゼンスを高めている。しかも、海外でも発売されたばかりの「Touch Diamond」や「Touch Pro」などの最新モデルを短期間で日本語ローカライズして発売する予定だ。

 このため、Samsung電子も“HTC対抗” “高機能端末”としてOMNIAを日本語化したうえで、「Windows Mobileスマートフォンのまま発売」する可能性が考えられる。

 なお、海外メーカーのWindows Mobileスマートフォンは、日本のケータイでは当たり前となりつつあるワンセグやおサイフケータイ(FeliCa)といった日本ローカルのハードウェア機能を搭載しない。また、海外市場では携帯電話の上位モデル、高機能機種としてスマートフォンが認識されているが、日本はキャリアの製品として発売すること(例えば、シャープの「SH906i」ではなくドコモの「SH906i」である)、そしていわゆる“ケータイ”も、そもそもハイスペックであるため、スマートフォンの位置付けはやや異なる。日本におけるWindows Mobileスマートフォンの主な販売ターゲットは、ビジネス層やモバイルインターネットを多用する、あるいは自ら使い方を創造できるようなハイエンドユーザーであり、一般コンシューマー向けに幅広く受け入れられる製品ではないのが実情だ。

 よって、OMNIAをスマートフォンとしてそのまま日本市場に投入した場合、海外市場のようにSamsung電子端末におけるハイエンドモデルという位置付けにはならず、法人市場向けの(コンシューマーユーザーからは)特殊な端末という印象を与える製品になる可能性がある。

 同社は、自社OS上にOMNIAと同じタッチパネルUI(ユーザーインタフェース)である「TouchWiz UI」を搭載した“非スマートフォン”のタッチパネル携帯も海外で発売している。ヨーロッパ、アジア市場向けの「SGH-F480」「F488」や、韓国向けの「Haptic」(SCH-W420/SPH-W4200)である。

photophoto 韓国向けのHapticは、カラーバリエーションが豊富。それだけ想定ターゲットが広いことも伺える。ヨーロッパやアジアではHSDPA対応のF480、F488が発売されている

 OMNIAと比べると、F480とF488は若干サイズが違うが、Hapticはほぼ同サイズ。双方ともタッチパネルによるタッチ操作が行える高機能携帯として人気は高く、特にHapticは2008年4月の発売から1カ月で10万台を売り上げたという。ダイヤルキーがなく画面をそのまま触れて直感的に操作できることから、キーがたくさんついているよりむしろ簡単と受け入れられ、若年層だけではなく年配ユーザーからも支持されているようだ。

 このようにスマートフォンではないTouchWiz UI採用端末も海外ではかなり評価が高い。日本市場向け製品も似た方向性の端末に仕上げる──。“日本向けOMNIA”はスマートフォンではなく、Windows Mobile以外のOSを搭載し、日本独特の機能も搭載した「ハイエンドケータイとして登場する」のではないだろうか。

 “日本版OMNIA”はスマートフォンになるのか、はたまたハイエンドケータイになるのか。同社のこれまでの日本市場戦略を振り返りながら改めて推測してみよう。

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