通話品質で比較する「N706ie」「P706ie」「SH706ie」「L706ie」「706ie」シリーズレビュー(1/2 ページ)

» 2008年10月23日 19時07分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 ドコモから発売された706ieシリーズは、“誰にでも使いやすい”をコンセプトにしたケータイだ。横並び比較の前編では、「N706ie」「P706ie」「SH706ie」「L706ie」について、主にディスプレイの見やすさやダイヤルキーの押しやすさを比べた。

 後編となる今回は、4機種の聞きやすさと使いやすさに注目した。特に、通話品質を改善させる機能を搭載したSH706ie/N706ie/P706ieについて、仕組みの違いや実際の聞きやすさをチェックする。

photophoto 左から、「P706ie」「N706ie」「SH706ie」「L706ie」

通話時の聞きやすさ

 各端末の通話品質に関する機能をピックアップしてみると、以下の表のようになる。L706ieは、ノイズキャンセラのみ搭載しており独自の通話品質改善機能は搭載していないので、表からは省いた。通話に関する機能といっても、自分が聞きやすくなるのか、それとも通話相手が聞きやすくなるのか、機能のオン/オフはどうするかなどの違いがある。

機能 効果 オン/オフ設定
N706ie
ハイパークリアボイス 自分の周囲の騒音レベルに合わせて受話音量を調整するとともに、相手の声を際立たせて聞きやすくする メニューから(電話→電話の設定・確認→通話→ハイパークリアボイス)。または通話時にiモードボタン
ノイズキャンセラー 自分の周囲の騒音を抑制し、自分の声を相手に聞きやすくする メニューから(電話→電話の設定・確認→通話→ノイズキャンセラ)
エコーキャンセラー エコーを抑制し、相手も自分も聞き取りやすくする 標準搭載
P706ie
しっかりトーク 自分の周囲の騒音レベルや特性に合わせて受話音量を調整し、相手の声を聞きやすくする メニューから(設定→通話→しっかりトーク)
ゆったりトーク 相手の声がゆっくり聞こえる 通話時にメニューボタン
ノイズキャンセラー マイクから入力された音を分析して周囲の雑音を低減し、自分の声を相手に聞きやすくする メニューから(設定→通話→ノイズキャンセラ)
SH706ie
ノイズリダクション トリプルくっきりトーク 周囲の雑音と自分の声を区別し、クリアな自分の声を相手に伝える 標準で有効
エンハンス ノイズを抑えて声を強調し、相手の声を聞き取りやすくする。また、自分の周囲が騒がしい時には受話音量をアップする
エコーキャンセル エコーを抑えて、自分も相手も聞きやすくする
スロートーク 相手の口調が約1.3倍の長さになってゆっくり聞こえる 通話時にiモードボタンを押す

 N706ieの「ハイパークリアボイス」は、周囲の音に合わせて受話音量を自動で上げる機能。雑音を低減し、相手に自分の声を聞きやすくする「ノイズキャンセラー」と「エコーキャンセラー」も標準で搭載した。自分でオン/オフできるのは、ハイパークリアボイスとノイズキャンセラの2つだ。

photophoto ハイパークリアボイスは、メニューからだけでなく、通話中にも設定できる。iモードボタンを押すごとに「強め」→「OFF」→「ふつう」の順で切り替わる

 P706ieの「しっかりトーク」は、周囲の騒音レベルに合わせて受話音量を調整し、相手の声を聞きやすくするものだ。スピーカーも改善されており、耳から多少ずれていてもそれほど聞きづらくならないのがうれしい。

 SH706ieの「トリプルくっきりトーク」は、周囲の音を抑えて自分の声を聞きやすくするノイズリダクション、相手の声を強調するエンハンス、反響音を低減するエコーキャンセルという3つの機能を合わせた機能の総称だ。

 トリプルくっきりトークは標準で有効になっており、そのまま使用することを推奨している。オン/オフは、メニューから一括で設定され、機能ごとに別々に設定することはできない。なおトリプルくっきりトークは、端末の設定メニューや取扱説明書には“ノイズキャンセラ”として記載されている。

photo SH706ieの先端部には、2つめのマイクが搭載されている。ここから周囲の音を拾って騒音レベルを計っている。このため、通話時は手で覆わないようにしたい

 N706ieのハイパークリアボイス、P706ieのしっかりトーク、SH706ieのエンハンス機能は、周囲の騒音に合わせて受話音量を上げる点で共通している。技術の違いはあるとは思うが、得られる効果はほぼ同じと思って良いだろう。

 それぞれ使ってみたが、どの機能も劇的に音がよくなる――と感じるものではない。いつでも快適に通話できるため、機能の存在に気づかないというのが正直な感想だ。電車が通過する地下鉄ホームなど、極端に周りの音が大きい場所なら、その効果を実感できる。また、こうした機能を持たないケータイを使うと、通話音声の差に驚くことがある。

 最近はメールやWebブラウザなどのデータ通信機能やマルチメディア機能の重要性が増したためか、ムーバのころよりも通話品質を重視するユーザーは減ってる。しかし、“音声通話”はケータイの最も基本的な機能なのだから、この分野での技術的な底上げがもっとあってもよいのではないかと思う。

相手の声をゆっくりにする

機種 操作
N706ie 十字キーの上下を長押し。または本体側面の上下キー
P706ie 十字キーの上下。または本体側面の上下キー
SH706ie 十字キーの上下
L706ie 本体側面の上下キー

 SH706ieの「スロートーク」とP706ie「ゆったりトーク」は、相手の声をゆっくりにして聞きやすくする機能だ。必要なときに、その都度有効にして利用するもので、終話すると設定も解除される。

 それぞれを聞き比べてみたが、相手の声色が変わるほど速度が落ちるわけではない。会話中の間隔を使って音を伸ばすため、ゆっくりに聞こえるというものだ。相手がちょっと早口で聞き取りにくいと思ったら、使ってみるといいだろう。

 ただし、これらの機能を使っても相手の声が聞きにくいときは、受話音量を上げるしかない。右に通話時の音量調節方法をまとめた。

 L706ie以外は、十字キーの上下で音量の調節ができる。ただし、N706ieの場合は、1秒以上長押しする必要がある。短押しだとアドレス帳画面が出てきてしまうからだ。

独自機能をチェック

 次に、メニュー画面の工夫や独自機能についてチェックしてみた。

「N706ie」――改善されたメニュー構成でより使いやすく

 N706ieは、メニュー構成を大きく見直し、通常メニューに新たに「電話」という項目を追加した。ここから電話帳の登録や、「電話の設定・確認」で着信音の設定などが行える。これまでどおり、メニューの第1階層には「設定」の項目が用意されており、例えば「メール」や「電話」からも各種設定にアクセスできる。1つの設定項目にたどり着くまでの間口が広がったわけだ。

 従来のN端末と比べてもメニュー画面はかなり変更されているが、レイアウトやアイコン名がシンプルなためか、あまり違和感はない。初めての人はもちろん、これまでのNユーザーもすぐに慣れるだろう。

photophotophoto 通常メニューの第1階層に「電話」の項目が追加された。電話帳の確認や登録、電話関連の設定メニューが並ぶ(写真=左、中)。N端末でおなじみのデスクトップアイコン。待受画面で決定キーを押すと、アイコンにフォーカスが当たり、吹き出しが出ているアイコンの機能を起動できる。十字キーの左右でフォーカスを移動できる(写真=右)

 ハードウェア面での特徴は、押すだけで本体が開く「ワンタッチオープン」ボタンをヒンジに装備したことだ。これは、パナソニック モバイル製端末でおなじみの機構で、片手でケータイを開けられるため根強い人気がある。N706ieのそれは、P端末より若干ゆっくり開く印象だ。

 「ウォーキングカウンター」もユニークだ。歩数は背面ディスプレイやアプリの棒グラフなどで確認できる。消費カロリーに応じて待受画面上に食べ物のイラストを表示する待受Flashが楽しい。

photophoto 待受画面に消費カロリーに応じた食べ物が表示される。100種類程度のイラストが用意され、季節に応じたスペシャル画像もある
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