英Symbianが英ロンドンで開催した展示会「Smartphone Show 2008」で22日、英Sony Ericssonのソフトウェアトップ兼副社長を務めるパトリック・オルソン(Patrik Olsson)氏が基調講演を行い、「Symbian Foundationに積極的に関わっていく」と表明した。
Sony Ericssonは6月末、NokiaらとともにSymbian Foundationを設立すると発表。同時に、同社と米Motorolaが共同出資するUIQ TechnologyのUI「UIQ」を提供することも明らかにしている。
オルソン氏はSymbian Foundationが打ち出した戦略を支持するとし、その理由について「Sony Ericssonは革新的な携帯電話の開発でリードしたいと考えており、Symbian Foundationが提供するOSはそれを支える土台として必須」(オルソン氏)だと説明した。
Symbian Foundationは今後、Symbian OSにS60、UIQ、MOAPの3種類のUI資産を組み合わせたプラットフォームを構築し、S60との互換性を維持するとしている。将来のSymbian FoundationベースのSony Ericsson端末では、S60アプリケーションが動くことになり、オルソン氏は「Symbian Foundationのエコシステムとユーザー基盤は、大きな価値になる」という見方を示した。
Sony Ericssonの社内では、すでにSymbian開発チームがSymbian FoundationベースのOSに対応する準備を進めており、2009年後半にも最初の製品を発表する予定。その後、製品ポートフォリオ全体でサポートする計画だ。
Sony Ericssonは、端末を提供するだけのメーカーではなく、各種のコンテンツサービスも提供している。
オルソン氏は同社の代表的なサービスとして、音楽やゲーム、壁紙、着メロなどのコンテンツを提供する「PlayNow arena」を紹介。コンテンツはPCと携帯電話で購入でき、購入した楽曲は両プラットフォームで楽しめる。楽曲に関する情報を入手できるサービス「TrackID」も利用可能だ。
「Sony Ericssonは単に製品を提供するのではなく、ユーザーが端末を利用する期間を通じて、さまざまなサービスを提供する」(オルソン氏)
オルソン氏は、ユーザーインタフェースについても新たな取り組みを行っているとし、同社がこの春に発表した「Project Capuchin」を紹介した。JavaとFlashという、開発者に人気の2つの技術を組み合わせる試みで、「安全な開発言語Java MEとUI向け開発に優れたFlash Liteの良いところを利用できる。柔軟性を提供する」とアピールした。
Capuchinは(1)Flashで作成してJavaコンテナでパッケージ(2)アプリケーションロジックをJavaで、UIをFlashで実現し、Javaでパッケージ(3)アプリケーションロジックをJavaで、UIをFlashとJavaで作成し、Javaでパッケージ という3つの方法で提供する。
Capuchinを利用した例としてオルソン氏は、グラフィックにJavaを利用し、メニューとUIにFlashを利用したゲームアプリや地図アプリを紹介。同社はすでにCapuchinをサポートした「C905」「G705」の2モデルを発表しており、今後は製品ポートフォリオ全体に拡大する計画だ。
オルソン氏はまた、CapuchinをSymbian Foundationベースの端末にも搭載する意図があることを明らかにしている。「ハイボリューム向けの革新的な開発環境を開発者に提供できる」(オルソン氏)
展示会場のSony Ericssonブース担当者によると、Capuchinを利用することで、開発期間を数週間から数日レベルに短縮できるという。同社では現在、CapuchinをSymbian Foundationの一部として統合することを検討しているという。
オルソン氏は「S60、Capuchinを利用して、今からSony EricssonのSymbian Foundationベース端末向けにアプリケーションを開発できる」とアピールし、開発者に参加を呼びかけた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.