天国はまだ遠く「充電が切れちゃった」Mobile&Movie 第332回

» 2008年11月21日 13時33分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名天国はまだ遠く
監督長澤雅彦
制作年・製作国2008年日本作品


 今回ご紹介する作品は、M-1グランプリのチャンピオンとして一躍売れっ子になったチュートリアルの徳井義実が、映画初出演した「天国はまだ遠く」。主人公の加藤ローサが使用している携帯電話はauの「W53SA」。劇中での携帯電話にまつわる2人のやりとりは、漫才のようにコミカルで一見の価値アリです。

 人里離れた山を目指して、京都・宮津駅に小さなトランクひとつで降り立った千鶴(加藤ローサ)。夜の闇に染まり、ひっそりと静まり返った駅前にはタクシーが1台だけ。千鶴はタクシーに乗り

 「北の方へ行ってください」

 とだけ告げます。

 思いつめた表情の千鶴に、ただならぬ気配を感じ取ったタクシーの運転手(宮川大助)は、山深い場所にある民宿に連れて行きます。

 そこは『絶景の宿 たむら』という小さな民宿で、田村(徳井義実)という青年が1人で営んでいました。商売っ気のない態度で、好きな部屋を選んでいいと千鶴を2階に案内します。木造の古い家屋には他の宿泊客もおらず、千鶴はある決心をします。

 仕事での失敗や人間関係に悩んでいた千鶴は、知らない場所でこの世にさよならしようと思い、この場所までやって来たのです。小さなトランクに入っていたのは、大量の睡眠薬。最後の眠りにつく前に、千鶴はケータイでお別れのメールを送信。その携帯電話を握り締めたまま、悩みもなくなる世界へ吸い込まれていったのでした。

次の瞬間、千鶴は明るい光の中にいました。そして、どこからともなく、香ばしい焼き魚の香りが……。おもむろに起き上がって確認してみますが、千鶴の足腰はしっかりしており、どうやらこの世にまだいるよう。香りに誘われるまま台所まで行くと、田村が朝食の準備をしていました。お腹が空いていた千鶴は、朝ごはんをもりもりと食べ始めます。田村は

 「32時間寝てたで」

 と千鶴の食べっぷりに驚きながら、教えます。

 睡眠薬をたくさん飲んでみたものの、ぐっすり眠って起きただけだった千鶴。食欲もあり、田舎の朝の清々しい空気に包まれて気分も爽快。自給自足の生活を送っている田村の暮らしぶりも珍しく、しばらくは田舎体験ということで民宿に泊まることに。千鶴の目的を察知したかのように、田村は周囲へ連れ出して自然の美しさを教えるのでした。

 「充電が切れちゃった」

 自然の中でリラックスしていた千鶴がふいに思い出したのは、睡眠薬を飲む間際に送った携帯メール。この世にさよならを告げたメールを出したのに、今生きている千鶴は激しく後悔。再度メールを送ろうとしても、充電器を持ってきておらず、慌てるばかり。そんな千鶴に田村は、手紙を書いたらどうかと提案します。

 田村のさりげないやさしさに触れ、人との関わり方にも少しずつ自信を取り戻す千鶴。心の傷が癒えた時、千鶴が出した結論とは? そして田村が胸に秘めていた悲しい過去とは?

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