世界の携帯電話販売台数、景気後退で1けた増に――Gartner調べ

» 2008年11月26日 08時13分 公開
[ITmedia]

 調査会社の米Gartnerは11月25日、世界の携帯電話市場の調査報告を発表した。第3四半期(7〜9月期)の販売台数は3億900万台以上で、前年同期比6%増だった。世界的な不景気の影響で、今期の成長率は1けた台と、前年同期の成長率16%と比べると半分以下だという。

 メーカー別では、首位のフィンランドのNokiaが1億1800万台を販売したが、買い替え需要が成熟市場と新興国市場の両方で冷え込み、販売台数の成長率は7%と1けた台にとどまった。ただし新製品の導入とホリデーシーズン到来で、第4四半期には市場シェアをさらに伸ばすとGartnerはみている。

 韓国のSamsungは好調で、販売台数を前年同期比で26.3%伸ばした。タッチスクリーン機種の人気と、ミドルレンジ機種の豊富さに支えられ、今後も堅調な見通し。

 英Sony Ericssonは、高級機種市場と、欧州での買い替え需要低迷に苦しんだ。また同社のWindows Mobile搭載タッチスクリーン携帯「Xperia X1」で部品不足が報告されており、販売は再び苦戦を強いられる可能性がある。さらに「Walkman W705」などの新製品も、音楽再生機能を持つ機種は既に市場にあふれているだけに、顧客獲得はあまり期待できないとしている。

 米Motorolaの市場シェアは前年同期の13%から8%に減り、販売台数は2460万台だった。Gartnerは同社について、機種が少なく、他社の値下げ攻勢に対抗できる余力がないため、不況は特に同社にとって厳しい時期となっていると分析。さらに2009年についても、同社の困難な状況は続くと予測し、10月に発表した2000ドルの高級携帯「AURA」については、現在の市況をまったく無視した製品と指摘している。

 韓国のLG Electronicsの製品価格帯は現在の市況に合致しているため、第4四半期は時期的にも同社に有利となる見込み。販売台数は2410万台に達した。しかし、インドでの販売契約を失ったダメージは大きな影響を与えそうだという。

携帯電話メーカー上位5社の出荷台数およびシェア(2008年第3四半期)
メーカー 出荷台数(単位:千台) シェア(%) 出荷台数増減(前年同期比、%)
Nokia 117,978.9 38.2 7.14
Samsung 52,891.6 17.1 26.31
Sony Ericsson 24,847.7 8.1 -2.14
Motorola 24,633.4 8.0 -34.94
LG 24,069 7.8 17.41
その他 64,111.6 20.8 15.87
合計 308,533.0 100.0 5.97
iDEN対応端末の販売台数を含む。ODM、OEM製品は除外(資料:Gartner)

 地域別では、アジア太平洋地域の販売台数が、不況にもかかわらず前年同期比13.8%増の1億1670万台となった。しかし、買い替えサイクルが4〜8カ月延びたため、シンガポール、香港、台湾、韓国、オーストラリアなどの成熟市場では販売台数が横ばいまたは落ち込んでおり、携帯電話会社は長期契約の獲得に躍起になっているという。インドや中国などの新興国での売り上げは、初めて購入する消費者需要により、堅調な伸びを示している。

 東欧、中東、アフリカでの販売台数は、前年同期比13.1%増の5780万台となった。ロシア、ハンガリー、ウクライナ、ルーマニアなどの一部東欧諸国は、第3四半期に金融危機に直面したが、携帯電話市場にはそれほど大きな打撃を受けていない。

 日本では、前年同期比28%減の940万台となり、前期からはほぼ横ばい。Gartnerは、最新機能を持ったハイエンド機種よりも一般的な機種を求める傾向が強まり、機種変更への関心は薄れているとしている。

 中南米諸国の販売台数は、前年対比5.5%増にとどまった。

 北米市場では、Research In Motion(RIM)のBlackBerryやAppleの3G iPhoneなどのスマートフォンがけん引し、前年同期比4.5%増の4700万台となった。

 西欧市場の販売台数は4350万台で、前年同期の4720万台を下回った。ユーザーが18カ月、24カ月といった長期契約に縛られているのと、物価上昇による生活費高騰で、買い替え需要は低迷している。

 Gartnerは2009年について、景気の影響を予測するには時期尚早だが、少なくとも前半は携帯電話市場にとって厳しい状況が続くとみており、通年での成長率は1けたと予想している。

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