見えないところにまで遊び心を──WIN最薄最軽量の防水端末「W65K」に込めた思い開発陣に聞く「W65K」(2/2 ページ)

» 2008年12月18日 13時00分 公開
[あるかでぃあ(K-MAX),ITmedia]
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“遊び心”のある端末を目指した3つのバリエーション

── 端末をデザインしたときのコンセプトを教えてください

Photo 通信機器関連事業本部 マーケティング部 商品戦略部 デザイン課 デザイン1係の光永直喜氏

光永直喜氏(以下光永氏) 今回のデザインは、女性をターゲットにしているのですが、若い女性の方にはさまざまな趣味嗜好の方がいらっしゃいます。服やアクセサリーも、必ずしもシンプルなものを求めているのではなく、いろいろなスタイルやファッションをしています。そういった幅広い嗜好を持った女性に合わせ、今回あえて3つのカラーバリエーションごとに背面の金型を全て新規で起こすという形にしました。

 それぞれのカラーバリエーションごとにコンセプトがあります。クレールホワイトはシンプル嗜好の女性に向けたクリーンなデザインです。フルールピンクは幻想的というか、カラフルなファッションが好きだったり、可愛らしいものが好きな女性を対象にしていて、花柄などの植物をイメージした彫り込みを用意しました。よくサイフやカバンなどでもこういった手法が見受けられますが、そこを意識しています。リュクスシルバーはゴージャスな大人の雰囲気の女性をターゲットにして、高輝度な質感というものを表現しています。

 京セラ端末でご好評いただいている「インフォメーションキー」は、使いやすさを向上させつつ、キーやサブディスプレイ周りの質感を、3種類それぞれ全く違う手法で表現しています。ピンクは透明感と高輝度の質感、シルバーは金属のギラッとした質感、ホワイトは裏から光が浮かび上がるような処理を施し、端末のイメージに合わせてアレンジしています。

Photo カラーバリエーションごとに表面処理が異なる背面。サブディスプレイとインフォメーションキーの作りもそれぞれ別の表情を持つ

── スペックを見ていて、なぜこんなに厚さが違うのか不思議に思ったんですが、ここまで加工が違うと厚さも当然変わってきますね。

若狭氏 そうですね。リュクスシルバーの端末はかなりスクウェアな印象になっていて、そのほかの端末は少し丸みを持たせています。凹凸だけでなく、端末全体の印象もかなり違っていると思います。

 リュクスシルバーのように、これだけ凹凸を付けたデザインの端末はほかにないんじゃないかと思います。今回CMやWebドラマなどを、端末ごとにシーンを分けて撮影しているんですが、このリュクスシルバーの端末のシーンは少し照明を落として暗めで撮影することが多く、その際にこの凹凸の形状が上手く光を拾っていて、かなりキラキラとした表情を見せてくれています。他のデザインとは対照的な作りです。

Photo 背面の加工が異なるため、スペック上の厚さもカラーごとに異なる。リュクスシルバーはスクエアなデザイン、クレールホワイトとフルールピンクはやや丸みを帯びたデザインとなっている

── ダイヤルキーの文字もカラーバリエーションごとに違いますね。

光永氏 今回カラーバリエーションごとに端末のイメージに合わせ、キートップのフォントからキーのデザインまで変えています。クレールホワイトに関しては背面がシンプルなので、少しキーに遊び心を加える事で、楽しい雰囲気を出しました。背面もキー面もシンプルだと、少しもの足りないかなぁと思いまして。フルールピンクとリュクスシルバーは、逆に背面が激しい印象なので、中は比較的落ち着いたイメージに仕上げています。

 ただ、3つのバリエーションともにキーの押しやすさなどに配慮し、キーの出っ張りなどは通常のシートキーに比べて少しだけ高く出していて、キーの面積も比較的大きく取っています。クレールホワイトに関しては隣り合うキーの形が若干違うなど、ブラインドタッチする時の使い安さを考えた新しい試みも入れつつ、グラフィック的な面白さを出しています。クレールホワイトはほかにも、ダイヤルキー面に水の波紋のようなグラフィックが入っています。強く主張するものではありませんが、気付くと少し遊び心があるような、そういった仕上げにしています。

Photo ダイヤルキー面の表情もそれぞれ独特。クレールホワイトは、打ちやすさとデザイン性を両立させるため、十字キーやダイヤルキーの大きさを変えるなど、新しい試みが見られる

── そういった“遊び心”という部分は、ユーザーに端末を長く使ってもらうためのポイントとなるのでしょうか。

若狭氏 20代の女性は、デザインの中に何かが隠れているとか、少し楽しいところなどに惹かれる要素が多いという話を聞きます。ですから今回はそこを意識しています。例えばお風呂というと、典型的なシーンとしてアヒルのオモチャなどを連想しませんか。そういった遊び心をどこかに隠せないかなぁと思い、今回ワンセグアンテナの先に小さなアヒルを隠していたりします。

Photo ワンセグ用ホイップアンテナの先端にあしらわれている「アヒル」

── これは言われないと気が付きませんね。もしかしたらずっと気付かない人もいるかも知れません。

若狭氏 言われないと気付かない部分ですが、知っている人は知っているという(笑)。例えば2年間使っていく中で探し出していただくくらいの、人に言われないと分からないような細かな遊び心をいろいろ入れて、飽きさせない工夫というのをしていければと思っています。

 長く使っていただくという部分は、最近の携帯電話では大きなポイントになっていると思います。防水機能についても、お風呂の中で使えるというプラスの用途もあれば、雨の日に壊れにくい、水没などの事故が減るといった点で、長く使うのにいい機能かな、とも思います。ちょっとした汚れであれば水で洗い流すこともできます。そういった面でも防水はこれから先必要になってくる機能だと思います。

 フルールピンクのデザインも、表の彫刻は植物のデザインという話をしましたが、実はその中に動物が紛れていたりとか、実際パッと見て気付かれなくても、言われてみると実は……というものを探していただくのも、遊び心につながるのかな、と思っています。

キー入力後にアクションが選べる──すぐ文字機能は自信の機能

── W65Kならではの機能というのは、どんなものがありますか。

Photo 待受画面でキー入力をすると、数字だけでなく文字にも変換され、それをメモなどにできる「すぐ文字機能」を搭載した

若狭氏 新しい機能としては、「すぐ文字機能」がありますね。待受画面で何かを入力すると、電話をかけるだけでなく、その入力内容を「ペタメモ」にしたり、インターネットで検索したりできます。京セラオリジナルの機能ですが、auや販売店での反応は非常によかったです。

 実際に携帯電話の利用シーンを考えた時、毎日便利に使える機能があった方が嬉しいのかなぁという思いからすぐ文字機能は生まれました。入力してからアクションを選べるのは、なかなか便利だと思います。

 またカメラ機能の起動時や保存時のパフォーマンスも、従来よりも向上しています。オートフォーカスのピントが合う速度も上がっていますので、かなり軽快に撮影ができるのではないでしょうか。カメラの画質以上に、使い勝手の面で大幅に改善しています。

PhotoPhoto カウントダウンタイマーも便利な機能だ。キッチンタイマーのように任意の時間が計れるものだが、面白いのは動作を継続したままほかの機能を呼び出せること
PhotoPhotoPhotoPhoto カウントダウン中は画面上部のピクトエリアに残り時間の目安がバーで表示される。残り時間が短くなると拡大されて赤いバーに変わり、時間になるとしっかりアラーム音で知らせてくれる

── プリインストールのコンテンツなどにもオリジナルのものがあったりしますか?

若狭氏 先程お話ししましたWebドラマの主題歌が、河口恭吾さんの「未来色プロポーズ」という曲なのですが、W65Kの購入者特典として、そのアコースティックバージョンがダウンロードできるようになっています。これはW65Kのユーザーしかダウンロードできない特別版で、現在の着うたに加えて着うたフルでの提供も考えています。

── 最後に、W65Kの開発にまつわる思い出深いエピソードなどがあれば教えて下さい。

大和田氏 やはり外観にバリエーションを付けるのは大変でした。全てのバリエーションで防水機能を持たせなければいけなかったので、よくぞこれだけの期間で3種類も作ったなぁという感じです。

光永氏 私も端末を3つデザインするのに近いような作業だったのが大変でした。また“全然違うものを1つのものとして見せる”というところも結構大変で、その辺りをどういうコンセプトでどのような見せ方をしていくのかをしっかり考える必要があり、なかなか難しかったです。あとは“防水なんだけど防水らしくない”、あくまでもデザインとしてスッキリと見せたいというところがありましたので、技術の方とは表にネジが出ないよう配置などを工夫してもらいながら、できる限りのところで議論を詰めながらやれたのが大きかったかな、と思います。

若狭氏 正直ほぼ全ての部分に思い入れは強いのですが、強いて挙げるとすれば「すぐ文字機能」です。京セラ内には、現在技術とマーケティングで部門横断的な“使い勝手に関するプロジェクト”があって、あれこれアイデアを出しているのですが、すぐ文字機能は私のいるグループの中から出た企画なんです。それを自分が担当しているモデルに搭載することができたというのがうれしかったですね。いろいろな方に評価されている機能なので、それがユーザーの満足につながればいいな、と思っています。


 京セラとしては初めての防水端末の開発だったが、防水は薄型軽量で人気を博したW44Kからの正常進化を続けてたどり着いた、いわば“必然”と言える機能だったようだ。メインターゲットは女性とのことだったが、クレールホワイトやリュクスシルバーは男性が持っても違和感のない色合い。厚すぎず、薄すぎない、ほどよいサイズ感でワンセグやFeliCaなど必要な機能を備えたW65Kは、コンパクトな防水ケータイを求めていたユーザーに、改めて目を向けてもらいたいモデルだ。

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