では、なぜスライドボディなのだろう。
「デザイン調査などを勘案すると、スライド端末は確かに20代の若年層や女性層に人気があります。ただそれ以外の層もスライド端末を決して嫌悪するのではなく、それ以外のスタイルにひかれる機会が多かったからにすぎないと思います。一定以上の“デザイン、スリム、小型サイズ、そしてユーザーが望む機能”をしっかり備えていれば、ターゲットとする層も受け入れてくれるのではないか──そう考えたのが発端です」
そんなユーザーのため、そして初のスライドモデルだけに「スライドの開け心地」のチューニングは特に丹念に行った。
「“開閉時の感触”には、特にこだわりがあります。開けやすさだけを考えると少しゆるめにすればいいのですが、そうすると開けたときに左右にがたつきます。逆に締めすぎるとスムーズに開きません。これを心地よく“スッ、スッ”と気持ちよく開閉できるよう、ちょうどよくバランスさせるのが困難でした」
N-04Aはamadana black、amadana brown、ultimate pink、amadana whiteの4色で展開するが、ディスプレイ部の裏はどのカラーも半つや消しのブラックで塗られている。デザイン性を考えると、ここもボディと同色にすればいいと思ってしまうが、ここに“感触のよさ”の秘密がある。
「ディスプレイの裏が黒いのは、すべりをよくするためのコーティング塗装を施してあるためです。確かに商品企画やデザイン観点で考えると本体カラーと合わせたい思いがありましたが、スライドの“心地よさ”を削いでしまうと、いくらデザインがよくても使いにくいと感じてしまうことになります。そのために黒で統一しました」
ドコモの2008年冬モデルで、NEC製の「N-04A」とパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P-02A」、この2つのスライド端末がディスプレイが弧を描くように開く機構を採用した。
かつて703iμシリーズで展開した厚さ9.8ミリの極薄モデルでも、それぞれが「折りたたみ3G端末で世界最薄」とうたったことも記憶に新しい。それぞれLiMo Foundationの主要端末メーカーで、基本ソフトウェアも共通する2社のこと、何か申し合わせがあったように思ってしまうが、まったくそんなことはないという。それぞれが「うちが初だと思っていた」とのこと。
「よく『一緒にやっているの?』と聞かれるのですが、そのようなことはありません。やはりいろいろ必死に考えて煮詰めると、結果として方向性が似てきてしまうところはあるのでしょうか」
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