Mobile World Congress 2009のクアルコムブースでは、同社が開発したワイヤレス充電技術「eZone」を世界初公開したほか、小型デバイス向けチップセット「Snapdragon」を搭載した東芝製Windows Mobile端末「TG01」や、“ポケッタブル・デバイス”の試作機、新興国向けの据え置き型ネット端末「Kayak」を展示。処理能力と省電力性の両立という、携帯電話に求められる特性に応える同社らしい技術を採用した、次世代のインターネットデバイスを提案していた。
eZoneは、MRIなどに使われる磁気共鳴を用いて電力を供給する技術。これまでも電磁誘導を使ったワイヤレス充電は製品化されていたが、電子機器と充電器の位置を正しく合わせてコイルを重ねないと充電できず、金属を近づけると発熱するほか、ICチップを使ったクレジットカードへの影響もあった。eZoneを使えば、金属やICチップを使ったカード類へ影響を与えることなくワイヤレス充電が行える。
eZoneのデモでは、Palmデバイスに受電用アンテナを組み込んだバッテリーを装着。充電トレイの試作機に近づけるだけで電力を供給する様子が確認できた。複数端末へ同時に充電することも可能で、デバイスのバッテリー残量に合わせて個別に供給する電圧を変えることも。さらに、単に充電するだけでなく、通信機能を持たせてフォトスタンドとしても利用できるコンセプトモデルも展示されていた。
eZoneで供給できる電力はUSB充電と同等とのことで、5V±5%、500mA程度。デバイスの台数が増えたり距離が離れれば、その分充電完了までの時間がかかるという。製品化の際にはクアルコムが直接販売するわけでなく、機器メーカーにライセンスを与える形になる。
磁気共鳴を用いてワイヤレス充電を可能とするクアルコムの「eZone」。充電トレイの上に他の電子機器やコイン、キーなどの金属があっても安全で、複数の端末を同時充電することも可能だ。 (ムービーはこちらからでも参照できます) |
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