陸上自衛隊東部方面隊とNTT東日本、NTTドコモは3月12日、首都直下型地震の発生を想定した共同訓練を実施した。訓練は、大規模災害で都市部の交通・通信が遮断された際、陸上自衛隊とNTTグループが相互協力のもとに早期に通信回線を復旧させる目的で行われた。
陸上自衛隊とNTTグループによる共同訓練は、2004年に発生した新潟中越地震をきっかけに行われるようになり、今年で4回目を数える。また東部方面隊は2007年にNTT東西と、また2008年にはNTTドコモと相互協力協定を締結。災害時には被災地の状況に加えNTT関連施設の被災状況を相互に共有するほか、自衛隊施設が被災した場合にNTTグループが通信回線の補完を行ったり、野外通信回線の中継などを行う。また自衛隊は、NTTグループの災害対策機器をヘリコプターやトラックなどを用いて被災地に輸送し、避難所などでの通信回線の確保、復旧に協力する。
東部方面通信群長の笹木明仁一佐は訓練に先立ち、「災害時における通信の確保は、自衛隊の活動だけでなく、被災者とその家族との安否確認にかかせないもの。また、陸上自衛隊が持つ野戦通信装備だけでは、被災地での部隊運用をカバーしきれず、NTTグループの協力は欠かせないと考えられる。さらに、被災地への災害対策機器の輸送は、民間の車両やヘリコプターでは限界があり、輸送するには自衛隊の装備を活用するしか方法がないケースもあるだろう。共同訓練を通じて連携体制をさらに強化し、われわれの能力向上を図りたい」とあいさつした。
訓練では2007年、2008年と同じく、NTT東の災害対策用ポータブル衛星通信システムやドコモの可搬式発電機と携帯電話用充電器、衛星電話などを自衛隊の大型ヘリ(CH-47)と中型ヘリ(UH-1)で輸送し、避難所と想定したエリアに機器を設置した。また今年は、被災したNTT施設の復旧に必要な通信ケーブルと、被災地で活動する部隊に野戦通信能力を提供する通信シェルターを、大型ヘリでつり下げ輸送するて訓練も新たに実施。さらに、神奈川県・横須賀では海上自衛隊の輸送艇を使ってNTTグループと陸上自衛隊の車両を海上輸送する訓練も同時に行われた。
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