Nokiaが再参入、カシオは独自端末を投入――個性派ぞろいの2009年韓国ケータイ春モデル韓国携帯事情(1/2 ページ)

» 2009年04月09日 07時00分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 2月にスペイン・バルセロナで行われた「Mobile World Congress 2009」や4月初旬に米国・ラスベガスで行われた「CTIA Wireless 2009」では、韓国のSamsung電子やLG電子も最先端の携帯端末を数多く出展した。

 その多くは、スマートフォンなどの高機能な世界戦略モデルだった。一方、韓国国内ではハイエンドモデルだけでなく、シンプル端末やターゲットを絞り込んだ個性派モデルにも人気が集まっている。また、海外メーカーの参入が相次ぐなど、話題が尽きない韓国市場の2009年春モデルを見てみよう。

ブームが続く「Haptic」

 韓国では、2008年に火が付いたSamsung電子製の「Haptic」(ハプティック)フォンの人気がとどまることを知らない。遊び心のあるフルタッチパネル端末の一代目Hapticから、ウィジェットが増え便利さが格段に増えたHaptic2、端末に保存された写真を内蔵プロジェクターで投影できるHaptic Beam(ビーム)、背面を着せ替えられるHapticポップとさまざまなHapticシリーズが登場し、いずれも10万台以上の販売実績を残している。

 そのHapticシリーズの最新機種が「Haptic 8M」(SK Telecom:SCH-W740)だ。その名の通り8Mピクセルの高画素カメラを搭載している点が特徴。さらに、被写体の人物と電話番号などの情報をひも付けられる「フェイスタギング」機能も搭載した。写真を表示したときに写っている人物に電話をかけることができ、集合写真のように複数の人たちが写っている場合でも情報を登録できる。

photo Haptic 8Mの背面はデジタルカメラのようなデザイン。カメラは、オートフォーカス、キセノンフラッシュ、スマイルショットなど、さまざまな機能を搭載。価格は90万ウォン台(6万6000円前後)

 カメラ以外でもHaptic 8Mのスペックは高く、3.3インチのワイドVGAディスプレイを搭載するほか、日本のワンセグに相当する地上波DMBを内蔵。通信機能も、最大5.8Mbpsの高速通信が行えるHSUPAをサポートしていて、フルブラウジングはもちろん、8Mカメラで撮影した画像の送信も快適に行える。さらに外部メモリには、最大8GバイトまでのmicroSDHCが利用できる。

 使いやすいタッチUIを武器にブランドを確立したHaptic。その高い知名度を利用して、携帯電話以外のデバイスにHapticのUIを搭載する動きも出ている。Samsung電子製の“Yepp”「P3」は、Haptic UIと3インチのタッチパネルを搭載したポータブルオーディオプレーヤーだ。基本操作がタッチ操作で行えるだけでなく、写真に落書きできる「スケッチブック」などのタッチ操作を生かした機能も備えた。動画を分割してシーン別に検索する機能を装備するなど、マルチメディア面も充実している。


photo Haptic UIを搭載したデジタルオーディオプレーヤーのYepp P3。画面には好きな場所に“ガジェット”を置けるだけでなく、画面そのものを最大5パターンまで切り替え可能。携帯電話以外のデバイスにも、こうしたUIの採用が増えそうだ

Nokiaが韓国に再参入、カシオはオリジナルモデルを投入

photo スライドボディに2.4インチのQVGA液晶を備えたNokia 6210s。ボディカラーはレッド、ブラック、シルバーの3色

 2009年の韓国携帯電話市場には、今まで以上に多くの海外端末が登場しそうだ。英Sony Ericssonと台HTCは今年に入ってから韓国法人を設置し、「Xperia X1」や「Touch Dual」「Touch Diamond」を大々的に売り込んでいる。これらの海外端末はいずれもSK Telecom(以下、SKT)から販売されている。SKTはかねてよりMotorola端末も販売するなど、韓国内ではもっとも積極的に海外メーカーと提携しているキャリアといえるだろう。

 そしてKTFは4月6日、Nokia製の「Nokia 6210s」の発売を発表した。Nokiaは2003年に韓国から撤退しており、それ以来6年ぶりとなるカムバックを果たした。

 Nokia 6210sは幅広いユーザー層をターゲットに据えたシンプルな3G端末。パノラマ撮影も可能な320万画素カメラや、撮った写真を「Flickr」に直接転送できる機能、FMラジオや音楽プレーヤーといったマルチメディア機能を備える。価格も39万6000ウォン(約2万8000円)と低めに設定された。Nokia再参入の噂と同時にスマートフォンの発売も予想されたが、結果は予想を裏切るシンプルな端末だった。まずはできるだけ広い層へ、Nokiaブランドを訴求したいというところなのだろうか。

photo タッチパッドのようになぞって操作できるダイヤルキーとやさしいグラデーションカラーが印象的なOZ端末「canU-F1100」。価格は40万ウォン(約3万円)台後半

 一方KTFにとってNokia 6210sは、初めての海外メーカーによる3G端末となる。これまで多くの海外端末がライバルのSKT用に出ていただけに、世界シェア1位のNokia端末で巻き返しをはかりたいところだ。

 韓国では今、LG Telecom(以下、LGT)のEV-DO Rev.Aサービス「OZ(オズ)」がじわじわと人気を集め始めている。サービス開始1年で会員数が60万以上に達するなど、インパクトある安さはもちろん、フルブラウジングに特化したマーケティングも功を奏しているようだ。LGT全体の加入者も少しずつではあるが着実に増えており、3月末時点で約834万人、市場占有率は約18%となった。

 このOZに対応する最新端末が、個性派携帯ブランド「canU(キャンユー)」シリーズの「canU-F1100」だ。これはカシオとLGTが、韓国市場のために企画から製作まですべてを共同で行った製品だという。

 ボディの周囲には「ブリングブリング(Bling-Bling)」と呼ばれる14個のLEDがついており、電話やメッセージを受信した際に点灯する。大きめのダイヤルキーには「グライドセンサー」が内蔵されており、指でなぞることでタッチパッドと同じ働きをする。よく利用する機能を登録できるホットキーも備えた。

 韓国の携帯電話としては初めて中国語辞典を内蔵したほか、ホテルや空港などでよく使う英語や日本語の会話を収録した「3カ国会話辞書」を搭載するなど、辞書コンテンツの充実も目立つ。

 ディスプレイは2.7インチのワイドQVGA液晶を採用した。4種類のフォントがプリセットされており、表示画面のカスタマイズも行えるという。ボディカラーはピンクおよびブルーグラデーションの2種類。日本や米国、中国など世界18カ国での国際ローミングも可能だ。

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