ソフトバンク夏モデルのシャープ製端末「mirumo 934SH」「THE PREMIUM WATERPROOF 935SH」「SOLAR HYBRID 936SH」は、防水性能や約800万画素CCDカメラなど、ベースとなる機能は変わらない兄弟機。一方で、934SHは約3インチの大型サブディスプレイ、935SHはアルマイト染色を施したアルミパネル、936SHは太陽光で充電できるソーラーパネルを搭載するなど、各モデルの特徴は大きく異なる。
こうした多彩なシリーズ展開はどのような経緯で生まれたのか。そしてシャープが目指す携帯電話作りとは――。シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部の別府莉那氏と、シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 主事の澤近京一郎氏に聞いた。
934SHは20代から30代の女性を主なターゲットとしており、今回の3機種の中でも最も広い層に訴求するモデルだ。最大の特徴である3インチのサブディスプレイには新開発のメモリ液晶を採用し、有機ELと比べて約500分の1という超低消費電力を実現。バックライト不要で常時表示が可能だ。
「通常のサブディスプレイの場合、サイドキーを押さないと時計が表示されない、液晶が小さく見にくいといった不満がありました。そこで今回は大型で常時表示ができるメモリ液晶を採用しました。メモリ液晶によって、サブディスプレイとして新しい使い方が提案できるのではないかと思い、そこに焦点を当てて開発しました」と別府氏は大型サブディスプレイ搭載の経緯を話す。
934SHのために開発したメモリ液晶は「散乱型液晶」と呼ばれるタイプで、電圧をかけない状態では乳白色に曇っており、電圧がかかるとその部分だけ透明になる。乳白色と透明な部分のコントラストにより情報を表示する。
「今回これだけ大きな表示が可能になったので、全面ミラー表示も可能にしました。もちろん女性には喜んで使ってもらえると思いますし、男性の方にも食事の後などのチェック用に使ってもらえればと思います。たこ焼きを食べた後などに……(笑)」(別府氏)
934SHのサブディスプレイでは、ホーム画面以外にも「アクティブメニュー」からさまざまな機能を呼び出せる。サブディスプレイに表示できる主なアプリケーションは以下のとおり。
ホーム画面に表示する時計アプリにもこだわり、全15種類の待受画像のうち時計だけで7種類のデザインを用意した。
「サブディスプレイにはインドア、アウトドア、カスタマイズという3つの使い方がありますが、インドアとアウトドアでは時計としての使い方がメインになります。アンケートでもサブディスプレイでは時計を表示させたい人が多いという結果が得られました。そこで、ちょっとした遊びを入れられるようグラフィックチームに頑張ってもらい、Flashで動きのある表現にしました」(別府氏)
メモリ液晶はその特性上、素早い動きは得意としないが、時計の秒数をカウントするといったゆっくりした動きなら十分表現できる。そこで月ごとに動きのある画像を用意して季節感を表現したり、クリスマスなどの特別な記念日には専用のFlashも用意したりといった工夫を凝らした。
「5月5日には“かぶと”が表示されるなど、1カ月に1回ほど『今日は何の日』という感じで遊びを入れています。通常の待受画像でも10回に1回程度、ランダムでイベントが発生する仕組みを設けています。こちらはマニュアルやカタログにも書かれていないので、ユーザーさんに見つけて楽しんでもらいたいですね」(別府氏)
また、通常のケータイは端末を半開きにした状態だとサブディスプレイは消灯するが、934SHでは半開きでも一部の機能を利用できるのが大きな特徴だ。「卓上ホルダに端末を置けば自動的に卓上時計モードになりますし、端末を少し開いて立てかけてもホーム画面やエチケットミラーが使えます」(別府氏)
これまでのサブディスプレイでもある程度の情報は表示できるが、934SHでは表示できる範囲と機能が拡張された。おサイフケータイの残高やメモ帳などをサブディスプレイだけで確認できるのは、大型ディスプレイの成せる業といえる。
「これは私がどうしても入れたかった機能なのですが、買い物をしながら端末を開いてメモを見るというのはなかなか難しいんですね。そこでサブディスプレイでメモ帳が見られるのは便利だなと。忘れてはいけないことをメモしておいて、サブディスプレイでいつでも確認するといった使い方もできます」(別府氏)
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