NTTドコモが新しいコミュニケーションの形として提案するのが、遠隔の物の触感を伝える「触力覚メディア」だ。
ドコモブースでは、マスタ装置(操作側)とスレーブ装置(遠隔側)の2つを使ったデモを実施。マスタ装置の可動部分を動かすと、「位置」「速度」「加速度」といった情報と連動してスレーブ装置の可動部分も動き、スレーブ装置に当たった物の感覚がマスタ装置に伝わる。装置を動かす「力」の感覚と、装置が触れた「触」の感覚を相互に伝達する仕組みだ。記者もゴムボールとビンを使ったデモを体験したが、実際に触ったかのように、ゴムボールの柔らかさやビルの硬さが感じられた。
ドコモが想定する触力覚メディアの利用シーンは、建設土木や医療など。「遠隔地にいる患者を触診したり、救急車で搬送中に診断をするといった使い方もできる」(説明員)。商用化のめどは立っておらず、2、3年以内に完成するレベルではないようだ。「通信が遅延しても安定して制御する必要がある。通信を安定させるのが最大の課題」(説明員)だという。
また、触感を伝える距離に制約はないが、ネットワークが混雑していると、伝達にタイムラグが生じる可能性もある。
物を触った感覚のほかに、「ツルツル、ザラザラといった質感や、布地の質感、人肌のぬくもりを伝えることも技術的に不可能ではない」(説明員)という。布地の質感が伝えられれば、オンラインショッピングなどの購入前に衣類の触り心地を確認する、といった使い方が想定できる。なお、質感を伝える場合は、単なる触った感覚を伝えるものとは異なるセンサーを使う必要があるという。
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