日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は8月5日、日本通信と提携し、USIM付き3Gデータ通信モジュールを内蔵するノートPC「HP Mobile Broadbandモデル」を発表、2009年9月上旬に発売する。
HP Mobile Broadbandモデルは、簡単な手続きだけで3G/HSDPAデータ通信と公衆無線LANスポットを利用できる通信機能を標準で備えた「世界初の画期的な“ネットワーク Ready”ノートPC」(日本HP パーソナルシステムズ事業統括マーケティング本部の平松進也本部長)だという。3Gデータ通信は日本通信がMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)となり、HPのサービスの1つとしてNTTドコモのFOMAネットワーク(国内人口カバー率100%)で展開する。既存の3Gデータ通信モジュール内蔵PCと異なり、アクティベートを済ませたUSIMも同梱するため、利用者は既存の通信事業者と別途回線契約を行うことなく、購入後、すぐFOMAネットワークを利用したモバイルデータ通信を利用できることを大きな特徴とする。回線と課金システム、ユーティリティソフト開発などを日本通信が担い、OEMのような形態で日本HPに納品。HP製PCの一機能として、HPがサービスを運営する仕組みだ。
ラインアップは、Netbook「HP Miniシリーズ」、12.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載する「HP EliteBookシリーズ」、回転2軸ヒンジとタブレット機能を備えた「HP Compaqタブレットシリーズ」の3機種を皮切りに順次拡大する予定とし、価格もワイヤレスWAN機能レスモデルから5000円から1万円以内の差額に収めたいとしている。
「現在Netbookが売れているが、買ってすぐ、どこでもインターネットに接続できるわけではないのに、なぜ“Net”bookと呼ぶのか分からない。そんなPCがNetbookという言葉を使わないでほしい──と思っている」(日本通信の三田聖二社長)
MVNEとして日本HPに回線を含めたソリューションを提供する、日本通信の三田聖二社長は「通信業界とPC業界の融合が叫ばれて20年にもなるが、いままで業界どうしで膨大な考え方のギャップがあり、かつ(通信事業者に)“縛られていた”ため、実現しなかった。通信機能は、通信事業者が製品やサービスを提供し、PCはこのサービスを使ってもらうための部品にすぎないという考え方だったためだ。でも、本来は製品(PC)があり、通信機能とサービスはHDDやメモリと同じように、PCを構成する一部品として担うとシンプルに考えるのが自然だ。HP Mobile Broadbandモデルは、これを初めて実現したことが画期的であり、次世代の新たな事業モデルを創造したといえる」と、日本HPと手を組む決めてとなった経緯を述べる。
通信料金は、3G通信を1分10円、無線LANスポットを1日300円とする基本月額料なしのプリペイド方式を採用し、ユーザーは利用したい分だけ付属ユーティリティソフトから1000円単位(最大1万円)でチャージしながら利用する。通信単価は日本通信が展開する「Doccica」と同じだ。
USIMが付属することに加えて初回(PC購入直後)から、国内の人口カバー率100%をうたうドコモのFOMAネットワークとともに、5分間のインターネット無料利用権と1000円分のプリチャージにより「買って、即インターネット接続」を実現するのも、今までの3Gデータ通信サービス対応PCにない取り組みだ。これに近い方法に、UQコミュニケーションズなどが展開するモバイルWiMAXサービスも存在するが、「サービスエリアは(まだ)圧倒的にFOMAネットワークが有利。“買ってすぐ接続”できないシーンは、ほぼない」(平松本部長)と、契約が必要で“縛り”もある既存の3Gデータ通信はもちろん、既存のどの方法より「インターネット“Ready”」であることを強くアピールする。
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