“ハイブリッド方式”で展開する――エキサイトが目指す新しい公式サイト

» 2009年09月28日 21時07分 公開
[田中聡,ITmedia]

 エキサイトは9月29日、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイル向け公式サイトとして「ウーマンエキサイト」「Woman★からだナビ」「エキサイトアニメ特撮声優」を開始すると発表した。

 ウーマンエキサイトは、ニュースやファッション、レシピなど女性向けコンテンツを集めたポータルサイト。利用料金は無料。Woman★からだナビは女性医師の監修のもと、女性の健康と身体の悩みをサポートするサイト。無料サービスと月額189円の有料サービスも提供する。エキサイトアニメ特撮声優は、アニメと声優情報のPCポータルサイトの携帯版。無料コンテンツと月額315円(300ポイント相当)の有料サービスを提供する。ドコモ向けは9月28日、auとソフトバンクモバイル向けには10月1日に提供を開始する。

 同社は2009年4月にモバイル部を発足し、携帯向け公式サイトを開発する「メディアチーム」、各キャリアの課金代行サービスをサポートする「課金チーム」、iPhone/Android/Nokia端末向けのアプリを手がける「新規チーム」、音楽コンテンツを手がける「EME(Excite Music Entertainment)」の4チームを設立した。今回の新サービスは、この新体制のもとで開発された。

“選択と集中”で女性向けコンテンツに特化

photo エキサイト ポータルサービス本部 モバイル部 部長 和田有記氏

 エキサイトはこれまでもコミュニティサイト「フレンズ」やポータルサイト「エキサイトモバイル」、着メロ、着うた、着うたフルなど携帯向けのサービスを提供してきた。同社ポータルサービス本部 モバイル部 部長の和田有記氏は「これまで提供してきた携帯向けサービスは点だけの存在で、サービス同士が線として連携しておらず、現時点では他社に先を越されている」とモバイル部発足の経緯を話す。「今後は、エキサイトを利用しているユーザーには付加価値を、利用していないユーザーには新たな価値を提供したい」。

photo これまで“点”で運営していた携帯向けサービスを連携させ、“線”として展開する

 では、モバイル部を発足することで何が変わるのか。和田氏は「2008年6月に野田(俊介)が社長に就任してから“選択と集中”をスローガンとし、エキサイトの強みである『ウーマンエキサイト』を強化することにした」と話す。「非公式サイトのエキサイトモバイルに注力するのも1つの選択だが、現時点では他社が先行しているので、同じことをやっても仕方ない」ことから、女性向けコンテンツの強化に踏み込んだ。

 エキサイトアニメ特撮声優については、「エキサイトがアニメというと意外かもしれないが、著名な声優がエキサイトのブログを使っているなど、弊社はアニメ業界にも多数のネットワークを持っているので、携帯向けにもしっかりビジネス化できる」と和田氏は自信を見せる。

“ハイブリッド方式”で収益を確保する

photo エキサイトの携帯向け戦略は3つの段階で構成されている

 エキサイトは同社が展開する携帯向けサービスを (1)情報提供型 (2)販売促進型 (3)顧客支援型 の3段階で展開する。情報提供型では無料コンテンツを豊富に用意し、ターゲティングが明確な広告メディアとしての基盤を固める。販売促進型では課金チームと連携し、女性に特化した有料コンテンツを提供することで、新たな収入源を確保する。顧客支援型は長くサービスを利用している“正規ユーザー”との関係を継続させる。これらの3ステップを経て、同社は1年後に100万UU(ユニークユーザー※Webサイトの訪問人数)の獲得を目指す。

 和田氏はこれら3段階をまとめて「ハイブリッド方式」と呼んでいる。「市場の景気がいいときは広告出稿が増えるので、無料コンテンツを多数用意する。景気が悪いときは広告収入が減るので、有料コンテンツを増やすことになる」

photo 恋愛、結婚、妊娠・出産、育児などあらゆるステージに合うサービスを提供する

 今回発表した「ウーマンエキサイト」「Woman★からだナビ」「プロの簡単★Eレシピ」のターゲットは20台半ばから40台前半の女性。「恋愛、結婚、妊娠、出産など、女性が求めているサービスのカテゴリーはそれほど大きく変わらないと考えている。例えば、恋愛をしているときは可愛い洋服、妊娠と出産時には機能性のある洋服、という具合にニーズは異なるが、女性は常にファッションに興味がある。ウーマンエキサイトを軸にユーザーのデータベースを把握して、あらゆる層に合ったコンテンツを提供したい」(和田氏)

 ここで大きなメリットを生むのが公式化だ。「公式サイトなら、どのサイトでどのユーザーがどんな行動を取っているかが分かる。広告媒体としてターゲティングができるので、クライアントにも分かりやすく説明できる」(和田氏)

日本の文化を扱ったiPhoneアプリも提供する

photo エキサイトは現在、13のiPhoneアプリを提供している

 さらに、同社モバイル部の「新規チーム」が手がけるiPhone/Android/Nokia端末向けアプリの開発にも注力する。「現時点はiPhoneに力を入れており、iPhoneは国内外で展開していく」(和田氏)

 日本向けのiPhoneアプリは2009年9月28日現在、無料が10アプリ、有料が3アプリ提供されている。同社ポータルサービス本部 モバイル部の岡田英之氏によると、ニュース配信アプリの「エキサイト ism」と「Garbo」は合わせて3万ダウンロード、「コネタ」は4万ダウンロードを記録しており好調のようだ。学習系アプリとして同社が9月25日に発売した「LEC商業簿記2級100問ドリル」(600円)は、「実際の試験のタイミングに合わせてダウンロード数が伸びている」(和田氏)という。「学習系のアプリの中で簿記を扱ったものは(現時点では)ほかにないのが強み。先行して販売した『LEC簿記3級100問ドリル』は1年で1万ダウンロードを目指しているが、すでに5000ダウンロードを記録している」(岡田氏)

photophoto 「LEC商業簿記2級100問ドリル」では、間違えた問題だけを解くことも可能(写真=左)。頭の中だけで素早く問題を解けるよう、「正解」をタップすると、解答を表示せずに次の問題へ移行する(写真=右)
photo 音声だけでヨガを指導する「音ヨガ5min. オフィス編」も提供している

 海外向けのiPhoneアプリは、同社がPCで展開しているコンテンツを英訳して配信する予定だ。「海外ユーザーに合わせて新規でコンテンツを開発するというよりは、海外で通用する我々のコンテンツを英語化する方向になる。10月中旬には海外向けアプリをリリースしたい」(和田氏)。また、無料アプリは総ダウンロードのうち5%が海外ユーザーだという。5%全員が外国人かは定かではないが、日本の文化に興味を持っている海外ユーザーが一定数いると考えられる。「今後は日本の文化を扱ったコンテンツもアプリ化(英語化)し、2010年3月までに7つのアプリを追加する」(岡田氏)

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