「ハイダイナミックレンジ合成(HDR)」は、露出を変えて撮影した複数の写真を合成し、広いダイナミックレンジを実現する技法です。
「TrueHDR」は、露出を変えた撮影から合成までのHDR作成プロセスを簡単に実現できるiPhone 3GS専用のアプリです。
人間の目のダイナミックレンジ(明るいところから暗いところまでを感じる範囲)はカメラのそれよりもかなり広いため、写真を撮ったらイメージ通りの仕上がりにならなかった、ということはよくあるのではないでしょうか。カメラでは明るいところに露出を合わせると暗い部分が黒くつぶれ、暗いところに露出を合わせると逆に明るい部分が白く飛んでしまいます。
HDRは複数の画像を合成することで、この問題を克服することができます。まずは実際に撮影してみたサンプルで比較してみましょう。
左(1枚目)がiPhone 3GSの通常のカメラで撮影したもの。天気がよかったこともあって、建物はよく撮れていますが、手前の木々が暗くてよく分かりません。右(2枚目)TrueHDRを使ったもの。色の違いが目につきますが、手前の木や植え込みに注目すると、細部までハッキリと確認できると思います。
上は同じ建物を近くから撮ったもの。HDR写真では、手前の木々・奥のビルまで映っています。
TrueHDRでは、画面をタップしてフォーカス・露出を決めるiPhone 3GSの機能を利用し、露出の異なる2枚の写真を撮影して合成します。
1枚目は画面のなかの“明るい部分”をタップして撮影。なるべく動かないようにしつつ、2枚目は“暗い部分”をタップして撮ります。
スタビライザーとズレを補正する機能があるので、手持ちでも撮影することができます。脇を締めるなどしてできる限り2枚の写真が同じフレームに収まるようにすると、きれいに出来あがります。
うまく行かなかった場合は「Clear」で撮り直し。満足する画像が撮れたら「Merge」で合成します。出来上がった写真は「Save」でカメラロールに保存されます。
屋外だけでなく、室内でも利用できます。下は東京国際フォーラムで天井を見上げたところ。少し分りにくいかもしれませんが、暗い部分がよりハッキリと写っています。
晴れていると影になった部分がつぶれてしまいますが、HDRではキレイに撮れます。
また、逆光の場合に思いがけず面白い写真が撮れることもあるようです。上が通常のカメラで、下がTrueHDRで撮ったもの。
夜景では照明の部分が明る過ぎて飛んでしまいがちですが、右の写真のようにくっきりと記録することができました。
これまでにもHDRをうたうアプリがいくつかありましたが、コントラストの調整といった疑似的なものばかりでした。アプリ名に「True(本当の)」が付いているのは、そのために違いありません。
写真撮影の楽しみを広げてくれる素晴らしいアプリですが、アイコンのデザインがちょっと残念ではあります。
今日のアプリ | 第493回 |
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タイトル | TrueHDR |
カテゴリ | App Store > 写真 |
開発 | Pictional |
対応機種 | iPhone 3GS |
価格 | 230 円 |
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