生活の中に“新たな何か”をもたらしてくれたケータイはITmediaスタッフが選ぶ、2009年の“注目ケータイ&トピック”(編集部後藤編)

» 2009年12月29日 09時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 ケータイの便利な機能が、新たな生活習慣につながる――。これまで気に入って使ってきたケータイには、なにかしら、そんな機能が搭載されていた。123万画素相当の写真が撮れる「D505i」の登場で、ちょっとした身の回りのこともこまめに写真に撮るようになり、富士通/三菱端末の「待受カスタマイズ」の登場で、携帯電話で予定を管理するようになる――といった具合だ。そして今年、そんな役割を果たしたのはiPhone 3GSだった。

すきま時間の有効活用に活躍

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 iPhone 3GSで最も利用頻度が高かったのは、Webブラウザ。これまで日本製端末に搭載されているフルブラウザやサードパーティ製のWebブラウザアプリを使ってきたが、少なくとも私がふだんよく見るサイトを閲覧する上では表示の速さや見やすさ、再現性などの点でiPhoneのSafariが勝っており、WebブラウジングはほぼiPhoneに移行してしまった。Flashに対応していないのは残念なところだが、私の利用スタイルでは、それが深刻な問題にはならなかった。

 iPhoneを利用し始めて変わったのは、出先や家でPCを使う時間がかなり減ったことだ。例えば出先で会社宛てのメール(Webメールのfeedpath Mail)を確認する場合でも、PCをカバンから出して立ち上げる前に、重要なメールがあるかどうかをiPhoneで確認できる。簡単な返事で済むようなものならiPhoneで対応し、PC内のデータを必要とするならPCを立ち上げればいい。こうしたちょっとした情報の確認を、空き時間に場所を選ばずできることが、さまざまな作業の効率化につながったような気がする。

 もう1つは、気になったことをその場で調べるようになったことだ。こういうことは、Webの動作がもっさりしていると面倒でやらないものだが、iPhoneだとWebをサクサク閲覧できるので苦にならない。中吊りで気になった本も、調べて面白そうならAmazonのiPhone対応サイトで簡単に買えるなど、すきまの時間を有効活用できるのがいい。

 こうしたことは、ほかの日本の携帯やスマートフォンでもできることかもしれないが、私の生活スタイルや使い方にはiPhone 3GSのほうが合っていたように思う。日本製の携帯電話は解像度が高く、ブラウザもFlashに対応するなど高機能だが、それよりも物理的に画面が大きくピンチで拡大/縮小、フリックで画面の移動ができ、サクサク動くほうが私にとって重要だったわけだ。

 とはいえ、予定の管理/表示機能やメール機能、ナビサービスなどはキャリア仕様の端末のほうが使いやすく、今後、現状の複数台持ちから1台にまとめざるを得なくなったときには“iPhoneをやめた”誠の吉岡編集長のように、相当悩むだろうと思う。ただ「Pocket WiFi」の登場で、ネット機能を使うだけなら解約したiPhoneでも、どうにかなってしまったりもするのだが……。

Photo 使って楽しかったiPhone 3GSのアプリ。左は撮った写真とさまざまなシーンを合成できる「PhotoFunia」、内蔵センサーと連動したゲームアプリ「Doodle Jump」、Twitterアプリ「TwitBird Pro」。TwitBird Proは「ご近所ツィート」が楽しい

Photo 使って便利だったアプリ。「食べログ」は、お気に入りの店をブックマークしておくと便利。「クックパッド」はレシピを調べたあとに、iPhoneをそのままキッチンに持ち込んで料理できるのが便利だった

Photo 写真のジオタグを編集できる「フォトアルバム (with Geotag Editor)」。端末内の写真にジオタグが付いているかどうかを確認したり、ジオタグを編集したりできる。地図も表示されるので、どこで撮影したかを確認しやすい

ネット連携の健康サービスに注目

 これまでは“端末内の1つの機能”が新たな習慣を生み出すケースがほとんどだったが、端末内機能の進化が一段落し、無線通信の高速化が進む今後は、端末の機能とサービスの連携機能やサービスがそれにとって変わると予想される。そして、2009年はその始まりの年であったように思う。

 ネットと端末機能の連携サービスで便利だったのが、富士通端末にプリセットされている「ヘルスチェッカー」アプリだ。これは、富士通端末の歩数計や脈拍計などの記録を管理するサービスで、無料で利用できる。

 あらかじめ設定すると歩数や運動強度が自動でサーバに送信され、履歴データをアプリから確認できる。毎週月曜には前の1週間の活動量をまとめたデータもメールで送信されるなど、プッシュ型のサービスも用意。タニタの体組成計「BC-501」や血圧計「BP-300」を使えば、赤外線経由で端末に計測データを送信することも可能だ。

Photo 富士通の「F-09A」に搭載されている「ヘルスチェッカー」アプリ。最近の歩数計搭載端末には、このアプリが搭載されている

 富士通はほかにも、メールで自動送信した歩数で、「東海道五十三次」「富士登山」「秩父札所めぐり」「熊野古道」「おくのほそ道」「四国八十八カ所」といった仮想コースを歩くという歩数計との連携サービスも提供しており、歩数計や脈拍計を搭載するだけで終わっていないところに好感が持てる。

 一部の情報の入力やメールの送信設定などが面倒なところが課題ともいえるが、初期設定のままでも1日の歩数や運動量を見える化でき、健康に意識を向けさせているのはうまいやり方だと思う。KDDIの「au Smart Sports」など、センサーを生かした健康サービスには個人的にも注目しており、2010年のさらなるサービスの発展に期待したい。また、ドコモの「オートGPS」や、KDDI研究所の「実空間透視ケータイ」、頓智・の「セカイカメラ」など、端末と位置情報が連携することで生まれるネットとリアルの融合サービスも、2010年の進化が楽しみなところだ。

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