またデモとして、SilverlightとVisual Studio 2010 Express for Windows Phoneの組み合わせでその場で作成されたWindows Phone 7用のTwitterクライアントアプリでは、画面の作成から各ツイートとユーザー写真の表示の仕組み、検索機能まで、ものの数分程度で実装が完了した。このほか、統合ソーシャルクライアントアプリを提供するSeesmicでは、Silverlightを使ってプラグインを書き換えることで、PC用とWindows Phone 7用のアプリをほぼ同時に開発することに成功している。両者のプログラムはソースコードがほぼ共通ということで、スピード開発に加え、クロスプラットフォームのメリットが十分に享受できるようだ。
SilverlightはこうしたUIやロジックの記述に威力を発揮するが、高速なレスポンスを要求されるゲームなどではまた違ったツールを利用する。Visual StudioにXNA Game Studio 4.0を組み合わせることで、スマートフォンのスペックでも十分に動作するゲームの開発が可能だ。XNAはPCからXbox 360までを網羅する開発プラットフォームの一種だが、今度はここにWindows Phone 7も含まれることになる。特にZune HD用ゲームのプログラムはコードに少々手を加えるだけでWindows Phone 7でも動作するようになるとのことで、PCやXbox 360向けゲーム開発者らの流入が期待できそうだ。
洗練されたUIと、定評のあるMicrosoft製開発環境の組み合わせが輝くWindows Phone 7だが、作成されたアプリはどうやって配布されるのだろうか。コンシューマー向けアプリは、これまでのWindows Marketplace for Mobileとは方針が大きく変わり、すべてWindows Phone Marketplaceを通して配布することを検討しているという。
「すべてMarketplaceを通す」という点が曲者で、Windows Phone 7へはmicroSDなどの外部メモリからのアプリのインストールが行えず、無料アプリであっても必ずMarketplaceからの導入が前提となる、という情報もある。Windows Mobile 6.5以前は一般的だった、勝手アプリを導入して操作性や機能をカスタマイズするといったことは行えなくなる可能性がある。
Microsoftではこの措置を、パートナーとの関係を尊重しつつ、Marketplaceの安全性を担保するためだとしているが、これまでWindows Mobileの人気の理由だった“自由度”を捨て去ることは、どのように響くだろうか。
なおMarketplaceの詳細について、個別に質問や取材をすることはできなかったのだが、Engadgetが掲載したトッド・ビッグス(Todd Biggs)氏へのインタビュー記事が詳しく、参考になる。新しいMarketplaceは、Microsoftの審査を通らないアプリは登録できないこと、開発者はアプリ登録料として年間99ドルのメンバー登録が必要なこと、ポイントなどの仮想通貨の流通は不可能なことなど、先行するAppleのApp Storeに非常に酷似したものとなっていることが分かる。また、企業向けには未審査アプリが自由に導入できるプランを用意しているのも同じだ。
またWindows Phone 7における各種制限については、ZDNetがチャーリー・キンデル(Charlie Kindel)氏にインタビューした記事の情報が詳しい。Windows Phone 7が正式発表されるまでに噂されていた制限事項、例えばマルチタスクが利用できないこと、PCとの同期はZune用の同期ソフトウェア「Dorado」を利用すること、といったものが事実だったことが確認されたという。
気になる既存のWindows Mobile 6.5以前のバージョンとの互換性がどの程度残されている点については、詳細は明らかにされていないが、MIX10会期中にアップデートがあったらご紹介したい。ただ前述のMarketplaceにおける制限などは検討中の段階で、今後の展開によっては幾分条件が緩和されることになるかもしれない。これについては、後日改めてMicrosoftから正式に発表があるようだ。
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