世界初のセパレート機構を採用したモデルとして話題を集めている富士通製のNTTドコモ端末「F-04B」。富士通が3月25日に実施した記者説明会では、F-04Bを開発した背景や位置づけ、今後の展望などが明かされた。
富士通 執行役員常務 兼 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の佐相秀幸氏は「F-04Bはケータイの新しい使い方やサービスを生む可能性を秘めている」と自信を見せる。同氏によると、富士通でのケータイやPCの位置づけは、コンシューマーとの接点を持つ“ユビキタスフロント”だという。「B to Bの先には必ずCがある。コンシューマーの動向や意見を集約させて、ヒューマンセントリックな(人間中心の)社会を実現させたい」と佐相氏は話す。ジャイロセンサーを活用したゴルフのスイングレッスンアプリや、加速度センサーを用いた歩数計、健康チェッカーなどは、センサー技術がB to BからB to Cへ結びついたもの。こうした技術をベースに、富士通は新たな人間中心社会の構築を目指していく。
富士通 執行役員 モバイルフォン事業本部長(兼 ユビキタスビジネス戦略室長)の大谷信雄氏は、富士通ケータイの開発方針は「ブロードバンドリーダー」「デザイントレンドリーダー」「ケータイテクノロジーリーダー」の3つだと説明。LTEに向けたサービスを追求するとともに、外観だけでなく使い勝手のよさにつながるデザイン、防水やセンサーなどユーザーの行動を支援する技術を提案していく。
富士通はこれまで、ヨコモーションや回転2軸型などさまざまなスタイルのモデルを開発してきたが、F-04Bではなぜセパレートスタイルを採用したのか。大谷氏は、ケータイで情報を積極的に見たり活用したりする中で、セパレートが最適なスタイルだと説明する。
ディスプレイとキーが分離するだけなら、ケータイとBluetoothキーボードなどの組み合わせと大差ないが、F-04Bはセパレートスタイルならではの新たな使い方を実現する。通常のスライド端末や、ディスプレイ部のみをフルタッチケータイとして利用できるのはもちろん、子機(キー部)で電話をしながら親機(ディスプレイ部)でメールやWebサイトを見るといった“ながら機能”や、ワンセグやアプリ、カメラのリモコン操作なども可能になる。
通話中に親機と子機を分離すると、親機のディスプレイに「通話中ランチャー」が起動し、アドレス帳や受信メール、マイドキュメントなどを利用できる。通話中ランチャーには9つの機能が固定されているが、そのほかの機能もマルチキーから利用できる。なお、通話中に利用できる機能は1つのみ。
QWERTYキーボードでは両手で文字入力ができるのはもちろん、ゲームアプリのコントローラーとしても活躍する。[GAME]キーを長押しするとゲームモードになり、[W][Z][A][D]キーを上下左右キーとして利用できる。
このほか、F-04Bで利用できるプロジェクター(別売)も提供される。投影できるコンテンツに制限はなく、iモードやiアプリ、iモーション、写真、ワンセグなどを大画面で楽しめる。投影サイズは最大60インチ、投影距離は最大320センチメートル。発売は4月下旬の予定。
このように、F-04Bではさまざまなデバイスを用いた新しい操作が可能になるが、「これがセパレートケータイの完成形だとは思っていない」と大谷氏は話す。ディスプレイ部とキー部が交差する“ナビゲーションスタイル”や、ディスプレイ部とキー部がT字型に結合する“ゲームスタイル”など、新たなスタイルも構想中だという。
また、長時間バッテリー(親機)と通話ユニット(子機)、書いた文字をデータ化する電子ペン(親機)と手書き入力が可能なタッチパッド(子機)、ケース入りカード(親機)と着信などを通知するサインチャーム(子機)、2つのディスプレイを並べたユニット(親機)と2つのキーボードを並べたユニット(子機)など、セパレート端末の新たな組み合わせを採用したアイデアも紹介された。「F-04Bのデザインを発展させて、さまざまなスタイルを実現し、LTE時代を見据えながら第2弾、第3弾のセパレートケータイを追求していきたい」(大谷氏)
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