脳型コンピューター、テレパシー、平均寿命200歳――孫社長が語った「最後の大ぼら」(1/3 ページ)

» 2010年06月28日 13時09分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo ソフトバンクの孫正義社長

 ソフトバンクは6月25日、株主総会終了後に「新30年ビジョン発表会」を開催。同社の孫正義社長は、30年後に同社の時価総額を200兆円にすることや、現在800社あるグループ企業を5000社まで増やすなどの目標を発表した。さらに、自身の後継者を育成する学校「ソフトバンクアカデミア」を7月に開講すると宣言。300人の生徒枠のうち30人を外部から受け入れ、孫氏が毎週指導を行うとした。

 孫氏は発表を「現役社長として行う一番大事なスピーチ」と位置付け、準備をしたという。ソフトバンク全社を挙げて30年後のビジョンを募集し、自身のTwitterアカウントでも意見を募った。発表会では、同社の考える30年後や300年後の世界を「30年に1度の大ぼら」として紹介。「人智を越えた脳型コンピューターが生まれる」「30年後には紙の新聞や書籍はほぼ100%ない」など、大胆な予測を打ち出した。

「情報革命で人を幸せにする」

 孫氏と「アルバイト2名」からスタートしたという同社は、1996年に米Yahoo!に出資を行い、日本におけるYahoo!のポータルサイト運営を開始。2001年には「Yahoo! BB」でADSLサービスを始め、2006年には2兆円あまりを投じてボーダフォンを買収し、移動通信事業に参入した。孫氏の大病や、ADSL事業開始後に3000億円の累積赤字を出すなどの「崖っぷち」も経験しつつ会社は存続し、2009年度は4658億円の連結営業利益を記録。創業30周年の2010年度は5000億円の連結営業利益を見込む。

 孫氏はソフトバンク創業以来、「情報革命で人を幸せにする」ことを企業理念とし、今後もそれは変わらないと話す。そして、人間の最大の悲しみは「孤独」であり、最大の幸せは「感動」だと説明する。これは、自身のTwitterアカウントで「最も悲しいことは何か」「最も幸せを感じることは何か」を問いかけ、その返事から導き出されたものだ。情報革命を通じて「孤独」を和らげ、「感動」を広めるのが、同社の使命なのだという。

photophoto 悲しみについては、死や絶望も「孤独に含まれる」と孫氏は話す。幸せの種類も多様にあるが、その多くが「感動」をもたらすものだと語る

 こうした理念を今後30年でどう実現するのか。それを語る前に孫氏は、同社が考える“300年後の世界”を披露した。「300年間成長する企業のDNAを作ることが自分の役割」と語る孫氏は、30年という期間にとどまらず、将来通用する企業の方向性を持つことが重要だと訴える。「先が分からないときこそ遠くを見るべきだ。近くを見れば見るほど船酔いする。アラが見えてくる。しかし遠くをみるとそんなものは誤差だと分かる」

 「どうせこれが最後の大ぼらですから。ついでに300年くらい言っておこうと」

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