防水・防塵機能を備えた「らくらくホン6」の後継機種である「らくらくホン7」は、簡単にiモードへアクセスできる「らくらくサイトボタン」を備えたほか、デコメ絵文字やiコンシェルにも対応。従来のらくらくホンシリーズが注力してきた「しんせつ」「あんしん」といった要素に「楽しい」を加えた。らくらくホン7では何が進化したのか。NTTドコモと富士通が説明した。
現在、ドコモは「らくらくホンスタンダード」「らくらくホン ベーシック」「らくらくホン シンプル」という3つのラインアップを“らくらくホンシリーズ”として展開しており、今回のらくらくホン7はらくらくホンスタンダードに位置付けられる。なお、らくらくホンの高機能モデルとして「らくらくホン プレミアム」も発売されていたが、らくらくホンスタンダードが高機能化したことで、今後はスタンダードが事実上プレミアムもカバーすることになる。
初代らくらくホンが発売されてから11年が経ち、シリーズ累計台数は2010年6月末時点で1780万台に上る。NTTドコモ プロダクト部長の丸山誠治氏によると、らくらくホン7は、らくらくホン6に寄せられたユーザーの声を反映させながら開発してきたという。
その中でドコモが注目したのが「インターネットの利用」だ。「ケータイでインターネットを利用していない人が多く、操作が難しい、欲しいコンテンツが少ないという意見を多数いただいている。また、iモードには有料サイトがあるので、すべてのサイトで情報料を取られるのではと誤解している人も多い」と丸山氏は話す。
こうしたケータイのインターネット利用におけるネガティブな要素を改善すべく、らくらくホン7では、ワンタッチでらくらくiメニューにアクセスできる「らくらくサイトボタン」を搭載した。さらに、らくらくiメニューをより直感的に操作できるようリニューアルし、情報料無料のサイトを集めた「おためしメニュー」を用意。最新ニュースや天気、運勢などのお勧めコンテンツを紹介するメールを1日1通配信する「iモードかんたんメール」も提供する。
これら3つの改善や新サービスにより、丸山氏は「iモードであることを意識せずにサイトへアクセスできる」と自信を見せる。ドコモとしては、今回のらくらくホンユーザー向けの施策でどこまでARPUを向上させられるか、腕の見せ所といえる。
さらに、らくらくホンシリーズでは初めてiコンシェルにも対応した。もちろん単に対応しただけでなく、「大きな字で見やすい画面構成にする」「2.0インチの大型サブディスプレイに新着情報を表示する」「光ガイドナビで操作法を案内する」といった、らくらくホンならではの工夫も盛り込んでいる。
富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏は「弊社の2010年度の携帯電話出荷台数は520万台を目標にしており、らくらくホンがけん引することを期待している。シリーズ累計2000万台も見えている」と話した。ちなみに、520万台のうちらくらくホンシリーズは200万台を見込んでおり、あらためて、らくらくホンが富士通の主力商品であることがうかがえる。
また佐相氏は「らくらくホンの外見は『何の変哲もないケータイ』と言う人もいるが、中にはセンサー技術を中心に、弊社の物作りの技術が凝縮されている」と、中の作りは決して“らく”ではないこともアピールした。
富士通 執行役員常務の大谷信雄氏は、「明快なユーザーセグメント」「ニーズにマッチした技術開発」「明快なプロモーション」という3つの要素が連携した結果、らくらくホンはヒットしたと説明。一方で、らくらくホンは“簡単操作”に注力しているだけに、むやみに機能を追加することは、ユーザーに混乱を招くとともに、PRIMEやSTYLEなどほかのシリーズとの差別化が薄れてしまう。ただ、「らくらくホンのお客さんも進化しているので、ケータイを活用して楽しむ新しい世界を提案したい」(大谷氏)との考えから、iモードサービス、健康、コミュニケーション、使いやすさの4点を進化させた。
iモードサービスでは先述のとおり、らくらくサイトボタンを搭載したほか、らくらくホンユーザーの趣味嗜好に合わせたコンテンツ「らくらくニッポン探訪」を無料で提供。観光スポットや食材、老舗などの情報を掲載する。健康系のサービスでは、富士通のセンシング技術を活用し、ケータイを持ちながら歩くことで、正しい歩き方をアドバイスしてくれる「高橋尚子のウォーキングクリニック」をプリセット。同コンテンツでは高橋尚子さんの理論に基づき、5つの測定項目から7つのウォーキングフォームについてアドバイスしてくれる。
コミュニケーション機能では、デコメールに本格対応したことが大きなトピックだ。らくらくホン7ではデコメ絵文字が利用可能になり、予測変換候補にも表示される。また、入力した文章から自動でデコメールを作成することも可能になった。「従来は操作性が難しくなるのでデコメ機能はあえて制約してきたが、『孫からデコメが届くので、自分もやってみたい』といった要望を多くいただくようになった。今回は“制約なし”でデコメが利用できる」(大谷氏)
使いやすさではディスプレイの解像度を向上させたほか、見やすい文字フォント「UDフォント」や広辞苑の電子辞書も採用した。もちろん、単に機能を詰め込んだだけではなく、「工夫を重ねたことで、操作性の良さは変わっていない」と大谷氏はアピールした。
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