日本時間の9月9日、iOS 4.1が登場し、iPhone 4のカメラ機能に「HDR撮影」機能が追加された。HDR撮影機能があると何がどう変わるのか。とりあえずこれをどうぞ。一目瞭然。
1枚目は通常の撮影。見て分かるとおり、公園に木漏れ陽がさしているんだけど、日向部分が真っ白に飛んじゃってる。2枚目はHDR撮影。日向部分もしっかり描写されてる。これだけ違うのだ。iOS 4.1にすると、簡単に2枚目のように撮れるのである。
HDRというのは「ハイダイナミックレンジ」の略。ここでいうダイナミックレンジとは、構図内の「明暗の差」と思っていい。デジタルカメラのセンサーが一度に捉えられる明暗の差はあまり広くないので、コントラストが高い(つまり明暗差が激しい)写真を撮ると、明るすぎるハイライト部は光があふれて真っ白に「トんじゃう」し、暗すぎるシャドウ部は光が足りなくて真っ黒に「ツブれちゃう」。
特にiPhone 4などモバイル機器の撮像素子は、本職デジタルカメラに比べるとサイズが小さくダイナミックレンジも低い。そこで、このダイナミックレンジをデジタルの力でなんとか広くしちゃおうというのがHDR撮影機能だ。
iOS 4.1の場合、露出オーバー(明るめの写真。シャドウ部を残すために撮る)、適正、露出アンダー(暗めの写真。ハイライト部を残すために撮る)の3枚を連写し、数秒で合成してダイナミックレンジが広い写真を作り出す。シャッター音は1回だけ。その間にこっそり3枚撮影してるわけだ。
ただし、iOS 4.1にアップデートしてもHDR機能が使えるのはiPhone 4だけ。iPhone 3GSやiPhone 3Gでは利用できない。iPhone 3GSが非対応の理由は、撮像素子の違いかもしれないし、他の要因かもしれない。この機能を実用的に使うには、一瞬で3枚の写真を連写できるレベルの高速読み出しが可能なセンサーが必要だからだ。
3枚撮影して合成していることがよくわかる例を1枚。
こういう極端な構図では木陰部分は暗く、空は真っ白になる。HDRをかけたものは、露出オーバーで撮った分がシャドウ部に適用されて陰が明るくなり、露出アンダーで撮った分がハイライト部に適用されて空の青や空の明るさに溶け込んでいた木の先端部が復活している。
実際には元画像に対して露出オーバー分を多めに合成するか(暗くつぶれていた部分がはっきり見える)、露出アンダー分を多めに合成するか(白飛びしてた部分が復活する)のどちらかの傾向が強いようだ。
白く飛んだ部分が復活した場合はこんな写真になる。
逆に陰の部分が復活した場合はこんな感じ。
逆光気味の構図ではシャドウ部が明るくなってはっきり見える。2つめはデジタルズーム写真。デジタルズーム時もHDRは効くのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.