次にDesire Zだが、こちらはZ型ヒンジによるQWERTYキーボードの搭載が、デザイン上の特長にもなっている。実際に手にしてみると、この新型のヒンジはとても精緻な機構であることが分かる。本体の前面部に横向きの力を入れると、滑らかな弧を描くように動き、パタンとキーボード部分が現れる。その動き、開閉音ともにとても上質であり、筆者はつい何度も開閉してしまった。これにはBMWやベンツのドアを開閉するときにも似た快感がある。
デザイン的に見ても、この機構は優れている。キーボード部分を閉じたときはボディに一体感があり、一見するとフルタッチパネル型端末のようだ。そして、ひとたびキーボードを開くと、HTCが「ゼロ・スライディング」と呼ぶように、表示部とキーボード部の段差がほとんどなく、一般的なスライド型キーボード端末に特有の無粋さがない。
このキーボードは使い勝手も優れている。キートップはラバーコーティングされており、押したときのコシはあるものの、表面部はペコッとへこむ。これにより指の腹でしっかりとタイプすることもできるし、爪でプチプチと押し込むこともできる。特に後者は、ネイルにこだわる女性にとってうれしいところだろう。基本フレームが金属なのでボディ剛性が高く、キーの入力時の感触に安定感があったことも好ましかった。Desire Zのキーボードは、デザインの美しさ・使い勝手・入力時のフィーリングのよさにおいて、すばらしい出来映えであると評価できる。
しかし、このキーボードの機構以上に魅力的に感じたのが、Desire Zのサイズだ。同機は119(高さ)×60.4(幅)×14.16(厚さ)ミリであり、全体的にコンパクトだ。特に横幅が60.4ミリと、日本人の手にもしっくりと収まる。ちなみにiPhone 3G/3GSの横幅は62.1ミリ、iPhone 4は58.6ミリである。Desire Zの幅60.4ミリは一般的なケータイと比べればワイドだが、キーボードを折りたたんだ状態でも厚さが14.16ミリとそれほど厚くなっていないため、手に持ったときの収まりは悪くない。これなら“電車の中での片手持ち”でも十分に使えそうだ。女性の手にもフィットするだろう。
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